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読書っていいですよね

世の中、いろんな本がありますよね。本を読んでいるとき、私は無常の喜びを感じます。本はどこでも持っていけるので、天気の良いには、日がな近くの公園のベンチで本を読んでいたりします。このブログでは、日々、本を読んで新たに知ったこと、感じたことを書いています。

 私には幾つかの本を、並行して読む癖があります。常時、数冊の本を、並行して読んでいます。
 同じような習慣を持っていらっしゃる方ならわかって頂けると思いますが、読み始めた順番に読み終わっていくかというと、なかなかそうでもないですよね。この本は最後に読み始めたのですが、そのまま最初に読み終わってしまいました。

 作者の三木卓さん(1935-)は、最初、詩から始められて小説を書かれ、1972年、「鶸(ひわ)」という作品で芥川賞を受賞を受賞された作家さんです。2006年度の日本芸術院恩賜賞も受賞されていますね。元々、詩を書いていらっしゃった方なので、小説も読みやすく、流れるような文章で書かれています。

 この作品は、主人公と、作中で「K」と称される主人公の奥さんとの、ある意味、変わった夫婦生活を描いたものです。
 主人公(三木さんですかね?)は詩作から転じて小説を書くようになった小説家、奥さんは詩人なのですが、主人公が小説を書き始めた頃から、夫婦の別居が始まり、なんと約40年近く連れ沿いながら、かなりの年月、1年に1回しか自宅に戻らないという生活が続きます。

 別居のきっかけは、奥さんが、小説を書くなら自宅では書けないと、別の場所に主人公の仕事場を用意してくれたことでした。一見、旦那さん思いの良い奥さんのような気がしますが、読んでいるとどうもそうではない・・・。
 主人公は別居しながらも、全ての収入は奥さんに送って、確実に夫としての役割を果たし続けますが、ある時、「もう自宅には帰ってこない欲しい。」と言われます。私は凡人なので、そんな場合は、つい「浮気かな・・・。」と思ってしまいますが、創作家夫婦ともなると、そんなことはないようで。
 夫婦の間には娘さんが居ますが、奥さんはこの娘さんと、二人だけで家族として暮らし、読書をしたり、詩作をしたりといった毎日を送っています。

 ここまでくると、夫婦であることの意味があるのかどうか、そもそもお互いの間に、夫婦として何らかの感情を持ち続けられるのかどうか、不思議になってきますね。
 
 作品の後半からは、癌を患った奥さんの壮絶な闘病生活の描写が中心となります。結構詳細に書いてあるため、癌の悲惨さを感じます。今まで帰って来いと言われなかった主人公は、病院で検査や手術がある時だけは呼び出され、その闘病を見届けることになります。
 さすがに癌との闘いは凄まじく、次第に確実に衰えてゆく妻の様子を見た主人公のご主人は、大きな悲しみに囚われます。
 今まで、かなり酷い扱いを受けてきたという思いもありながら、やはり間近に彼女の死が近づいているのを見ると、耐え切れない思いにかられるのです。これは奥さんだからなのか、それとも知人が瀕した場合の当然の感情なのか・・・・。

 いずれにしても、世の中、いろんな夫婦の姿があり、一概に語るのは難しいな・・・と感心してしまったのでした。