ほとんどが列車の中での出来事であり、「無事出国できるか、入国できるか」というイミグレーション関連のエピソードが多いです。あまり旅行しているという感じはしないですが、ひたすら「困難に挑戦している。」という感じです。そこが読んでいるとドキドキして面白いところだと思います。
こういった、まず自分では出来ないような記録を読むというのは、私にとって非常に大きな楽しみです。有名な沢木耕太郎さんの「深夜特急」や、北杜夫さんの「どくとるマンボウ航海記」等も、もちろんですし、古くは英国の登山家ウィンパーの「アルプス登攀記」、「アンデス登攀記」等がありますね。具体的な行動力が皆無の私は、このような方々の本を読んで、楽しむのが似合っているとと自覚しております。
さて、首題の本に戻りますと、著者も書かれていますが、飛行機での移動と異なり、列車で移動するということは、経由するすべての国との係わり合いが発生するということを意味するので、それが楽しくもあり、つらくもありという感じです。
イミグレーションは、EU圏内に入るまで、相当大変そうでしたし、フランスではストライキで列車が停止してました。飛行機だったら、出発点と、到着点以外は、考えなくてよいのに・・・。
これらの大変さを、1つ1つをクリアすることは楽しみかもしれませんが、一歩間違えると、そのまま立ち往生という危険性をはらんでいますよね。イミグレーション以外にも、列車がいきなり24時間停止したり(そしてその理由がわからない!)、ずっと食堂車も売店も無い列車の中だと、食料の調達もままなりません。
また、当然本の中では割愛されていますが、一番長かったのは「何も起こらない時間」であったはずで、これをつぶすのは、本当に大変だったのではないでしょうか。
それだけ、成し遂げたときの達成感は大きいでしょうから、心のどこかでは、このような旅に惹かれるのですが・・・。
最後に、この本の中で、個人的に気に入った一文がありましたので、転記させて頂きます。
『旅人は弱いものだとつくづく思う。相手のちょっとした言葉遣いや笑顔に救われ、元気を取り戻したりする。単純なもの・・・と思われるかもしれないが、知らない土地を歩く旅行者は、いくら経験を積んでも、恐る恐る相手の心を探るようにして前に進んでいくものだ。』(※1)
なんとなく旅行だけでなく、人生もそんな感じだなと思いました。
(※1)「世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ」(下川裕治/新潮文庫)
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