東京でワークショップを受ける機会に、1つ演劇を観るチャンスがある。
何にしようと考えて規模の小さなものから大きなものまで見比べて1つ、これだと選んで観に行ったものが、自分の中で大当たりでした。
自分の中でこんなテーマの作品をしてみたい。こんな表現をしてみたい。という所を完全に作品化されていた…。
そういう突き刺さり方をしてしまった、ある意味自分の20代最後のターニングポイントになる作品だった気もします。
作・演の池田さんがほぼ同世代だというのも大きいのかも?
ずいぶんと個人的な感想になってしまいました…笑
ゆうめい 姿 の観劇レポートです。
●ストーリー概要
物語としては割とシンプルです。一言で表せます、「ファミリーヒストリー」だと。
具体的には三世代のストーリーでした。主人公、主人公の親、その親(つまり祖父母)と遡ってまた主人公に戻る。それから彼の友人の話と、少しだけ主人公や親の職場が出てきます。
これで作品の説明が片付いてしまうのが面白い所だと感じております。
ですが、恐らくどんな家庭でも50年くらいの時間軸を細かく辿ると、すごく個別のその家にしかない物語があると思います。
その1つを創作・立体化して2時間の演劇にした。そんな印象でした
物語のもっと詳しい中身については、ぜひ作品や脚本から直に触れることをオススメします。
※ちなみにオリンピックも関わります。
●家から家へのシーン展開
舞台美術の可動範囲が大きく、かなりダイナミックな場転でシーンが展開するのですが、
広大な空間を場面として映すことはなく、ほとんどが家(あるいは1室)で行われるやり取りで展開していきます。
そのため、どこまでいっても(良い意味で)家庭の話という軸がぶれにくいです。
あるいは…?
家には、家からは、逃れられない何かがあるかのようにも見えます。
それを象徴するかのように、
派手な動きに頼らないのにもかかわらず、役者の身体性を表現することが可能な作品になっているのがとても印象に残りました。
少ない動きで、すごく身体的。
数シーンで活用されたバーチャルアバターと、舞台裏を完全に開放して観客の視界に入れるという演出も、同様にとても効果的だったと思います。
タイトルが「姿」であることを確実に何度も観客に認識させていきます。
●家族の光と影
全体を通していくと家族に忍び込んでいる影を見せるシーンの方が多かった印象です。
明るくて、家族ならではの良さを見せるシーンもちゃんとあるのですが。
特に主人公の母親を演じた役者さんたちは、ひたすら放射的に演技させるシーンが多くて、あれを2週間繰り返していけるのは凄いなあと感じました。同時にその表現方法を選択した演出さんにも。
観る人によってはちょっとしんどいかもしれません…。
●再演作品のことを考える
私はたまたまこの作品を前情報無しに観ることになりました。
初演は2019年。調べている所では大きくストーリーは変わっていないようですが、作者である池田さんのご家族の話がそのまま下地になっている作品です。
何せ父親役の五島ケンノ介さんは池田さんの実父というすごいキャスティング!
しかし、元々は2019年という時間まで突入していた脚本の持つ意味合いは、2021年になってどう変わったのでしょう…?
家族の時間は当然ながら止まりません。再演すれば脚本の時間も2021年に突入する。
そんな要素を持った作品ではないだろうかとも思います。
いやいや、今も変わり続けている最中で、はっきり「これだ!」と言える答えなんてあるのだろうか?
姿を変えようと思うが思うまいが、色々あったらこうなっていた…。
しかも、それも今そう見えているだけかもしれませんよね。
だってみんな最初から誰かの父や母だったわけじゃないです。
誰かの娘だった時があったり、誰かの息子だったけど、いつしか誰かの母になっていた…なんてこともあるでしょう。
先ほどこの話の主人公だと言った青年の役も、私がそう(主人公だと)思ったに過ぎません。
2021年も半分過ぎて、オリンピックの姿すら結局まだはっきりしていません。
こちらの作品ですが、6/15~6/21にかけての一週間のスケジュールで映像配信が決まった模様です。
姿形にとらわれない気持ちで、ぜひ一度ご覧ください。
●参考ページ
・姿 初演時 特設HP ページ末尾のコメント(創作ノート)を読まれるとどんな作品か把握しやすくなるかもしれません。
・エンタメ特化型情報メディア SPICE 5月11日記事 母親役の2人の俳優にインタビュー
