別に意識しているわけではないだろうが、少なからず人それぞれ細やかなこだわりを持ち合わせているだろう。少し物事がうまく行かない時に細やかなこだわりを何気なく変えてみる方も多いだろう。私は今朝、靴を履く順番を変えてみた。誰も気づいてはいないどうでもいい行為だ。いつからはじまったのかわからない自分なりの細やかなこだわりだ。いつもは左足から足を通すのだが逆にしてみた。意外なことにバランスを崩し隣で靴を履いていた君の肩を思わず掴んだ。すると苦笑いと共に、いつも心の中だけで言っていた『ありがとう』という言葉が口から素直に出た。『ありがとう』何気ないその一言は驚くほど周りの空気を変え、挙句の果てに私の顔をほんのりと薄い紅色に変えた。この1幕は新しい物語の序章になるだろう。さて『ドアは右手で開けるんだっけ?』うろたえてる私を見る瞳がやけに優しく感じた朝だった。
朝の生暖かい空気を肺とお腹に詰め込んでうっすらと湿ったアスファルトをあてもなく漂う。
雲の隙間に微かに覗く淡い青が今日一日の暑さを予感させた。
その予感は私の歩く速度を意外なほど加速させ、いつのまにか私は競歩競技の予選会出場選手の気分になっていた。
そして帰路につく頃私は『こむらガエル君』をお供に階段を登っていた。
背中で隊員たちが私に聞いた
『隊長明日の朝はどうしますか?』と。
『明日は、ほふく前進を決行する』
身の丈にあった行動こそが私には必要なんだ。
byオッポひろし



