プライバシーと有名人の利益を守る
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肖像権(しょうぞうけん) ~ 自分の肖像を他人に使わせない人格的権利のこと 誰だって私生活の様子は見られたくないし、姿や名前が雑誌やテレビで世間に流れてしまうと、名誉が傷ついたり、恥ずかしい思いをしたり、知らない人にねらわれたりするかもしれません。 ですので、この世の中では他人の肖像や名前を勝手に世間の目にふれるようにすることは迷惑なことであり、してはいけないのだと考えられています。
民法第709条は不法行為による損害賠償についての定めです。 |
もしインターネットで、他人が撮影した写真を掲載する際には、著作権者からだけでなく、その写真の被写体である人物からも、許諾を得る必要があるはずです。 しかし、被写体が風景の一部として溶け込んでいたり、画像がボケていて誰なのかがわからない場合など、被写体になった人物に迷惑がかからないようなときには肖像権の問題にならないでしょう。
最近は携帯電話にカメラがつき、町には防犯監視用のモニターがあって、私達の肖像はいろいろなところで撮影され記録されている時代です。
こういう世の中では、すべての無断撮影を違法ということもできませんが、撮影することについて、ある程度の正当性というものがなければならないでしょう。
観光地や街中で写真撮影をすれば、どうしても背景に誰かが写ってしまうものですし、防犯のための監視撮影も仕方がないと言えるでしょう。
こういったことはバランス感覚で柔軟に判断するしかありません。
「自分自身を撮影されたくないという利益」と「どうしても撮影しなければならない事情」というものをハカリにかけて判断するのです。ギリシャ神話に登場する「テミス」という神がいます。この神は法の神でもあり、片手に秤(はかり)を持ち、もう片方に剣を持っています。対立する利害のバランスを考えて判断することが法であるという意味でしょう。
肖像権やプライバシーに関する場面では、法律の知識よりも常識を問われることになります。
とりあえずは他人の権利を侵害しないよう慎重に判断して、少しでも心配があれば本人から承諾を得て撮影し、利用するようにしましょう。
◆有名人の権利 ~ パブリシティー権
肖像権を保護する理由として「プライバシーを保護する目的」だけでは納得できない場合がありえます。
たとえば芸能人のコンサートでの写真を無許諾で販売した場合には、コンサートですでに肖像が公衆に公開されていますから、プライバシーは侵害されていないと言えますし、芸能人の名誉や人格が傷つくということでもありません。
しかし芸能人はその「肖像や名前」を売ることで収入を得ていて、そのためにプライバシーを犠牲にして人気を得て、その「肖像や名前」の価値を高めようと努力しています。
彼らにしてみれば、売り物である自分の「すがた・かたち」を不当に利用されてしまうと商売になりません。
有名人の肖像や名前を利用することが商品やサービスの宣伝につながり、売り上げが増大するのですが、このような効果を「顧客吸引力」と言います。
現在では顧客吸引力を持つ有名人の肖像や名前を権利として保護する考え方が定着しており、この権利をパブリシティー権と呼んでいます。
経済的な側面から肖像を保護するので、経済的な肖像権と言ってよいかもしれません。
この世の中には「公平」という概念があり、他人の才能や努力を利用して利益を得ることはズルイことなので不法行為にあたる考えられる場合があります。
特に、自身の肖像や名前を広告として利用させることは人格的な保護を犠牲にすることと引き換えなのですから、パブリシティー権は人格権を尊重するために保護されているとも考えられます。
プロ野球選手やJリーグ選手の肖像や名前(競走馬の名前まで?)も顧客吸引力がありますから、プロ野球のコンピューターゲームの中で実在の選手名や球団名を使用する際には日本プロ野球選手会や日本プロサッカーリーグ等の団体を通じてライセンス処理がなされています。