厚く垂れこめた雲
渦巻く突風が
方向感覚を狂わせる
一旦見失ってしまえば
慣れた街も
初めて訪れる遊園地のよう
煌めく電飾
騒がしいBGM
出口探しても
遠くのネオン
後ろ歩きでは近づけず
地下へと続く階段も
今夜は満員御礼
マダム楊も見当たらない
青信号の点滅
ずっと止まらないから
飲みかけのコーヒー
隣のカップルに手渡す
右に曲がって
右に曲がって
右に曲がって
右に曲がって
元の位置にすら戻れず
シャッター蹴とばし
新しいコーヒーを買う
烈風の中
器用に行き交う
高い一輪車の紳士たち
隙間に入るといいよ
みすぼらしいコンシェルジュ
見渡せば
ビルの隙間は
既に満員御礼
最後の隙間には
そいつがさっさとはまり込み
傘さした貴婦人たちは
ふわふわと風に乗り
にぎやかに
メリーゴーラウンドの順番を待つ
時間がないよ、お兄さん
謹厳なモノクルの支配人
冷厳にリミットを告げる
出口はどこですか?
教えられない
それがルールなんだ
ルールであれば仕方がない
出口は自分で見つけよう
目指すは
ここで一番高い場所
逆回りの観覧車
そこだけ不動のてっぺんで
はぐれたローレライが
静かに哀しい歌を歌う
あなたはボクを出してくれるの?
それとも、どこかへ連れてくの?
応えることなく
そこだけ不動のてっぺんで
ローレライは歌を歌う
ふと気づき
ボクはポケットの中確かめる
コインは、もうない
な~んだ
だったら
迷うことなどないじゃないか
とんがり帽子脱ぎ捨て
観覧車へ続く
逆回りの螺旋階段を駆け上がる
覚えたての
静かな哀しい歌を
口ずさみながら