ピアノ再開する前、10年以上ダンス界(社交ダンス)にいました。
そこは初心者に厳しい世界です。相手と組んで踊るから。
「あんた、踊られへんから嫌や」と容赦なく言われます。何年やっても「誰が上手くて誰が下手」と周りと比較され、文句を言われ続けます。
練習してるとバカにして笑う先生が数人いました。「見てみ、あの子はなかなかできない」等と、次のレッスンを待っている生徒さんに悪口を言って笑うのです。まだ習い始めて1年もしないのに…。
だからダンスをしている人は、よっぽどセンスと才能があるか、鋼の精神と根性があるかしかいないんじゃないかしら?
私は芸術がしたかった。
音楽を表現したかった。
でも、どこを見渡しても技術を競い追い求めるものばかり。
ピアノは、始めたばかりの初心者が楽しそうに数小節弾くだけでも、辿々しくても、音楽があります。
レベル関係なく共有できて、それぞれの楽しみ方ができるのは、なんて素晴らしいでしょう!
コンクールは初心者だった私(今年2年目)ですが、競争じゃない、心地良い世界でした。皆、自分の音楽を追求し、芸術をしている人達。
しかし一時期、楽しめなくなった時がありました。気持ちが乗らなくて、もがいていました。
コンクール本選で演奏を終えた私に、聴きに来ていた人が開口一番「3つくらいミスあった」と言いました。
ミスは演奏した本人が一番よく分かっています。
それをわざわざ真っ先に伝えに来たのですから、「ミスのある演奏」というのが第一印象なのでしょう。
音楽が崩れたり損なわれるようなミスではありませんでした。予選よりは良くできた筈。
私は音楽をやりに来たのに。音楽を感じてもらえなかったの?
予選から緊張は続いていて、その日は風邪の前兆で関節痛が酷くて、極限状態というのは大袈裟ですが、本選の為に数ヶ月、心身共に追い込んで来ました。
こんなに頑張ったのは一体何だったんだろう?
一気に疲労と虚無感に襲われました。(翌日熱出して寝込みました)
基礎ができてないのにコンクール出ていて良いんだろうか?
ノーミスなんて滅多にないし。
一体何が評価されているんだろう?
どんどん心が後ろ向きになって行きました。
粗探ししてミスカウントしながら聴かれるのかと思うと、演奏する前に「あー嫌だな…」って気が重くなってしまったり。
それでも、挫けず明るい気持ちで頑張れたのは、私の演奏を楽しみにして下さっている方々のお陰です。
音楽を感じてもらえている、伝わっているんだと実感できたこと。
「オペラさんの演奏が聴けて良かった」と言って頂けたこと。