学生時代に研究の一貫でバレエ・リュスを知りました。以来、ずっと関心がありまして、漸くこれら2冊の文献を手に入れました。


図解や絵が多くて嬉しいです。

バレエという舞台そのものだけでなく、衣装デザインやポスターも、全てが豊かな芸術作品で満ちています。


Ballets russes(ロシアバレエ)という名ですが、ロシアでは公演しなかったのは驚きました。第一次世界大戦やロシア革命等の政治や社会の影響で難しかったそうです。

彼らはパリを拠点に活動しました。ショパンも亡命してパリで人生を送っていましたし、そんな風にパリは芸術家があちらこちらから集まって来るようです。

バレエ・リュスの衣装を見ると、東洋の影響を感じます。ジャポニズム、シノワズリ…。フランスは異文化を取り入れて、独自のものにするのが得意だと思います。それは、自由と平等を重んじるお国柄もあるのかもしれません。

ロシア、ドイツは自分達の文化を重んじ、異文化を排除する動きがありました。(どれだけ芸術家を苦しめたことでしょう!)


バレエ・リュスの革新的なアイデアの数々と、それを現実化し成功させた、という所が凄いです。

その魅力に多くの芸術家が協力し、支援して来たのも分かります。

次はどんなことをしてくれるか?という期待と、自分もそういう新しい風を吹かせたい!という勇気をもたらしたのでしょうね。


私も社交ダンス界のバレエ・リュスをやってやろうと、野心に燃えていた20代でありました。

しかし、理解してくれる者、協力してくれる者、誰もいなかったので、実現不可でした。

それに、私はシュールレアリスムが好きで影響を受けていますから、シュールな振り付けを入れたいですし、そういうのは需要が無い…商業的(万人受け)ではないのがネック。

社交ダンスはリズムでステップし、制限の多い踊りです。全ての音を表現できない。だから、様々な動きを取り入れ、音楽に忠実で、見たことないような新しい舞踊作品を、私は作りたかったのでした。


しかし今は、音楽に忠実に、音を自由に表現できる世界をピアノで知ることができました。

誰でもない、自分の表現ができることが、嬉しくて仕方ありません。