SNS上では報告し切ったつもりでいましたが、なんと私の「オアシス」であるこちらのブログが放置されてしまっていました。


(ブログは私にとっては瞑想と同じ。完成させるのに時間がかかりますが、書き終えた頃には頭の中が整理され、晴々とした気持ちになります。)



8年越しの挑戦、

そして人生最後の挑戦だった《バッハ国際コンクール2024》は、

23歳だった8年前と同じ、

一次予選敗退という結果で幕を閉じました。


色々なシチュエーションを想像していましたが、正直、最も薄かったヴィジョンが現実となりました。



ファイナルまで残った方々、入賞をされた方々のお歌を拝聴すると、私が正しいと思って模索してきた方向性とは違い過ぎて、

「嗚呼そっちがお好みなら仕方ない」という言葉しか出てきません。


その方々が入賞者に選ばれるのであれば…私の歌はどちらにしても審査員の好みになり得ないので、

一次でなくとも事前予選か二次かファイナルか-今となってはどこで落とされても一緒なのですが-…いずれどこかで落とされていたでしょう。


ただ、審査員の好みの問題、とはよく言うものですが、「好みの問題」の一言でで片付けられるべきことではない、というのが私の見解です。


いくつかの世界的な舞台に立たせて頂いていると、私なりに「おそらく大多数の方が「正しい」方向性だと定義している歌い方」と、そうでない歌い方が存在します。…何を言いたいかと言いますと、音楽において絶対的な正しい間違いは存在しないのですが、それでも実際には、「好ましい歌」というのは多くの舞台を経験するとイメージが掴めてくるものだと思います。


今までこのコンクールは私にとって大切なコンクールでしたが、今は少し、この先を案じています。



その一方で、私はこのまま、私の道を歩み続けられるような気がします。


それはもちろん私の日々の努力次第なのですが、日本の皆様、ドイツをはじめ様々な場所で私の背中を押してくださる方々のことを考えると、その方々の誇りのためにも、しっかりと自信を持って歩み続けるほかはない、ガッカリしている時間は1秒も許されていない、という気持ちです。


なぜなら、私は私を信じてくださる方々のことを心から信じていて、誇りに思っているからです。私が今回気を落とす、自信を無くす、ということは、その方々を傷付けることだと思っています。


自分自身とは自分の身の回りの方々の鏡であり、私を支えてくれる方々が素晴らしい方々なのであれば、自分自身にも自信を持って高みへと歩み続けられるはずです。


8年前は全く違いました。

自分で勝手に燃え上がり、勝手に期待して、勝手に燃え尽きていました。


今回の報告に際し、SNS上で、思いがけないほど多くの方からメッセージ、励ましの言葉をかけて頂きました。


前回から8年経ち、自分がこれほど多くの方に背中を押して頂いているとは、これほど多くの支えに恵まれる人生になったとは、

もしかしたら、このような結果にならなければ気付かなかったことかもしれません。


時間をかけて書いてくださった温かいメッセージのひとつひとつに、心から励まされ、「よっしゃ、練習頑張ろ!」と前を向くことが出来ました。


今回「前を向け、我が道を進め!」と激励してくださった皆様を裏切らないよう、日々進んでいく所存です。





本大会唯一の日本人入賞者であり藝大の同級生である櫻井愛子さんは、二次、ファイナルと残り、最終的に5位入賞を果たしました!


今大会のリハーサルを特別に聴かせて頂いたり、大会中にお話させてもらったりしましたが、準備段階から舞台に上がるまで実に立派なものでした。同期の誇りです。本当におめでとう。


ただ、総合的な完成度と言い、他のコンペティターの出来と言い、彼女ならもっと上、1位-3位の上位に入賞しても良かったはずだと思います。いや、実力としては余裕に優勝されてもおかしくなかった。

先程も述べた通り、今回の審査の数々は、8年前の審査とは比べ物にならないほど「?」が多く、

8年前の大会に参加し最後まで視察し切った証人としては、様子が(自分の勝手な)期待と大きく違ったという驚きに直面しています。



ただそれでも、

8年前、私を一次で振り落としてくれた、大きな目標を与えてくれたバッハ国際コンクールにはとても感謝しています。


8年前がなかったら今の自分はない、とまでは思いませんが、

それでも私はその時のエモーションの全てをバネに走り続けてきました。


人が休んでいるだろう時間帯に、雨が降り続く中でも、ジムに練習室に出掛け、何時間も試行錯誤。それを8年、性懲りも無く繰り返しました。


この物語がどういうエンディングであろうとも、少なくとも完結してくれたことに感謝しています。



人生最後のチャンスを終え、

私は、今回の生涯ではバッハコンクールの入賞者になれませんでした。



でも、もっと良い次の目標があります。


…いつか入賞者の方々と世界の舞台で共演させて頂けるように、

そしてその時に「…確かに予選落ちって感じの歌ね、分かるわ〜」ではなく😆、

良い意味で驚いてもらえるように。


その日が来るのを信じて、猛ダッシュしていきます。





応援くださり、誠にありがとうございました。


吉田志門