第1曲目"おやすみ"でかっこよく最後の別れを告げたと思いきや、
未練タラタラで恨み節ばっかりの妬みつらみ歌が、
この第2曲"風見鶏"である。
ピアノの前奏から、家の屋根の上で強風に風見鶏がパタパタと回る。
あっち向いたと思ったらこっち向いて・・
まさに彼女の移り気を風見鶏に重ね合わせているのだ。
人生も恋も、さまざまな風に吹かれて、揺らぐ。
運命にもてあそばれるようにして。
"誰が 僕のくるしみを問うだろう
あの家の子は 金持ちの花嫁だから"
僕が愛した人は、どうやら金持ちの男のところへと嫁ぐらしい。
もう嫉妬どころか、ぐうの音も出ない青年である。
自暴自棄になる青年の叫びが音に描かれている。
Der Wind spielt mit der Wetterfahne
Auf meines schönen Liebchens Haus:
Da dacht’ ich schon in meinem Wahne,
Sie pfiff’ den armen Flüchtling aus.
Er hätt es eher bemerken sollen
Des Hauses aufgestecktes Schild,
So hätte er nimmer suchen wollen
Im Haus ein treues Frauenbild.
Der Wind spielt drinnen mit den Herzen,
Wie auf dem Dach, nur nicht so laut.
Was fragen sie nach meinen Schmerzen?
Ihr Kind ist eine reiche Braut.
麗しき恋人の住処で
風見鶏が揺れる
狂気のなかに 聴く
可哀な逃亡者への嘲りの口笛を
門前に掲げられたこの標に
彼は早く気づくべきだったのだ
そうであれば 誠実な女性というものを
その家に探しには来なかっただろう
風は中の人の心をも 弄ぶ
屋根の上でのように しかし音を立てることなく
誰が 僕のくるしみを問うだろう
あの家の子は 金持ちの花嫁だから