往年のオペラのスターでフランコ・コレルリというテノールがいました。ご存知の方も多いと思います。イタリアンハンサムで絶大な人気がありました。
日本では全盛期に来日したデル・モナコに比較してキャリアの後半に初来日したので評価はいまいちでした。ただその海賊版の多さで彼の人気は推量できました。ただ冷静に聴いてみるとフガーと言う圧倒的声量で押しまくる爽快さはあるのですが細かいニュアンスは正直いってあまり感じられません。
実演に接していれば美男がぞくぞくするような高音を張るんですから興奮するでしょうが、録音では不利でしょう。
ただ不思議な魅力があり、そうとはわかっていても彼のCDをかなり買いました。ライブだと聴衆の反応が凄いんでそれだけでも聴く価値があると思います。
1965年のMETでのカラス、ゴッビとのトスカ、1959年のナポリでのオリヴィエーロ、シミオナート、バスティアニーニとのアドリアーナ・ルクブルールはオペラの臨場感を味わうにはお薦めです。
楽譜に無い高音をどこまでも伸ばすことは掟破りですかこの華のある貴公子にはゆるされたのでしょう。
