ドン・オッターヴィオとマゼット | operabuffのブログ

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二人とも許婚をドン・ジョバンニにやられるか、やられそうになるのかはっきりしませんが、ケースは共通しています。ひとりは貴族のお坊ちゃん、ひとりは多分農民でしょう。
ドン・オッターヴィオは口では勇ましいことを言いますがさっぱり御神輿があがりません。もうあいつだとわかった時点で決闘を申し込んでもいい立場なのにそれもしません。なんかドンナ・アンナの失望が目に見えるようです。後日譚があるとすれば婚約破棄ではないでしょうか。それと比較するとマゼットは男です。1幕の後半でドン・ジョヴァンニと対峙する勇気を持ち合わせているしボコボコにされちゃいますが退治してやろうと仲間と彼を探します。




女から見て魅力のある方は一目瞭然でしょう。よくフィガロの結婚は腐敗した貴族社会を揶揄したものといわれますがこれも多分にそういう要素があるように思います。
口ではおいしいことを言いますが、何の行動も起こさない。いざとなったら逃げる。そして安全な所で悲憤慷慨して詩とか作っちゃいます。日本でもロシアでも貴種というのはそういうものかもしれません。ドン・ジョヴァンニはそのアンチテーゼとしてのヒーローなのかもしれません。やることは破天荒でめちゃくちゃですが行動的で逃げません。騎士長の亡霊が来て悔い改めよと言っても絶対に引かない男。これです。地獄落ちの場面で騎士長にパーラ、パーラと歌う所に男の誇りを感じるのは私だけでしょうか?ドンナ・エルヴィーラがひどい仕打ちを受けても彼を忘れることができないのは貴族社会にはいないタイプの男だったからでしょう。




ドン・オッターヴィオは軽いテノールの持ち役で結構テクニックのいる二つのアリアがあります。クラウス、ゲッダ、シュライヤーとか歌っています。名歌手がどんなにうまく歌ってもこの役の印象は希薄です。マゼットは骨のある男。イタリアの強面バリトンが歌うのがいいのかもしれません。ジュリーニ盤の若いカップチルリがいい味です。