僕は覚醒剤取締法違反で逮捕された、元教員です。









夢に元校長が出てきました。


人を恨んでも仕方ないのですが、心のどこかで許せない自分がいます。


薬物を使ったのは、間違いなく僕なので恨むのはお門違いなのですが、それでも

あの校長の元で働かなければここまで追い詰められることもなかったのかな…なんて

人のせいにしてしまっています。









逮捕されてから、校長とは一度も会っていません。


便利に使われただけです。


誰も持ちたがらない学年を担当し、

「たろーさんしかいないのよ、考えてみて。…わかるでしょ?」

などと年度末には校長室に呼び出され、毎年説得されました。










研究発表が大好きな校長でした。


地域にも顔を売りまくり、

研究発表をすることで自分の手柄にし、名声を得る…

はじめの数年はそれでも熱心な人だ、と尊敬もしていました。









だけど、いつもいつも便利な駒としか見られていないことに気づき始めてからは、もう遅く

馬車馬のように使い倒されただけでした。


自分になびかない先生に対しては、

「あの先生、何考えてるかわからない。」

とよく僕にも愚痴をこぼしてきました。










それで僕が潰れて休んだ時には

トドメの一言を発してきました。

「将来のことを考えてNISAとiDeCoはしておくほうがいいわよ。」と。










ものすごく傷つきました。


これだけあなたに尽くしたのに、ゆっくり休んでね…ではなく、その一言ですか?と。


このように、相手をナメたような発言をする上司のもとで、今後も働くのかと思うと絶望しました。










また、この人が特殊なワケではなく、この考えがもしかしたら「女性の上司あるある」なのかな?なんて勝手に一般化して考えてしまい、

これ以上この仕事を続けることは無理だと考え、退職届を出しました。










だけど、やっぱり不安でした。


教員としての自分は、アイデンティティの大半を占めていたから

教員でない自分に価値なんてない…と思ったのです。











僕は、覚醒剤を使いました。


全く眠らず、ありえない量を使いました。


そして、ありえない行動に出ました。










事件直後、臨時の保護者会の内容も聞きました。

校長は、以下のように伝えたようです。


・事件と学校は一切関係がない


・子どもたちの心のケアに努める


・私はまだ会えていないが、対応が落ち着いたら面会に行くつもり


・私はこの対応のために来年度も本校に残り、職務を全うする











うわべだけの発言は、保護者からもすぐに見抜かれます。


ただ、今になって思うこと。

それは僕が覚醒剤を使わなければ、こんなことにはならなかったということ。











環境のせいにすることは簡単です。


だけど、自分を見つめ直すことは本当に難しい。


どんなよい影響、悪い影響を人から受けようと、

その行動を選択するのは間違いなく自分自身なのだから。










捕まった直後は、仕事関係のせいにばかりしていました。


今は、そんなことを考えてもムダで、

逆に自分を堕とすことにつながるだけだから

忘れようと自分に言い聞かせています。










今日の夢に出てきたぐらいだから、心の片隅には恨みとして残っているのでしょう。


だけど、もう過去には戻れません。


だから、今を生きます。


目の前の人たちに誠心誠意向き合えば、それはそれで人生捨てたものではない、と。










自己中心的な自分が発動しましたが、

今日の行動が明日を創る。


それを忘れずに過ごそう。