『ファルスタッフ』
   Falstaff
台本:アッリーゴ・ボーイト
初演:1893年2月9日ミラノ・スカラ座

記念すべき歌劇鑑賞音源200種目はマスキオ盤『ファルスタッフ』(ファルスタッフとしては14種目)。

昨年の6月、お店でこのジャケットを見た瞬間に200種目はこれだと決めました。珍しい女性指揮者、しかもファルスタッフ、おまけに美しい横顔と指揮棒の持ち方、この如何にも的なポーズ…文句なしに一目惚れでした(笑)

そのエリザベッタ・マスキオ、攻めるところ(9重唱など)、フェントンとナンネッタのしなやかな美しい流れ、たっぷりと歌わせるところ(妖精の女王他)、劇的なフィナーレなど、流れ良く生き生きとした素晴らしい演奏。
特に2幕2場の大捕り物場面、屏風の裏にファルスタッフがいると勘違いするところからは、今まで聴いた中の一番遅いテンポでそれぞれのパートを浮き立たせるという面白い演奏。そしてフォードが屏風を倒し、ファルスタッフではなかったのでみんな驚いたところからはクッとテンポを引き締めます。
こういうパートを浮き立たせる演奏は、エールリンク盤『オテロ』2幕4場の四重唱(オテロがデズデモナとのやりとりの最中にハンカチを床に投げ捨て、それをエミーリアが拾い、イアーゴが奪い取る場面)を思い出します。

充実の歌手陣。題名役のマウロ・ブーダ最高。太鼓腹度が中とはいえ、かゆいところに手が届くようなその伸び伸びとした歌唱、苦しそうに歌うファルセットもベリグー、文句なしマイベスト太鼓腹の一人。女声陣も同様に歌ってますし、更にこんなかっこいいフェントンは初めてかも。凛々しいドラマティック・フェントンです(笑)

この瑞々しいファルスタッフはこうでなくちゃと思わせてくれる名演、大変素晴らしいと思います。200種目に相応しい名盤となりました。正に、ジャケに偽りなしですね?(笑)

この演奏では3幕2場のアリーチェ「Inoltriam.(出ていきましょう)」から、妖精たち「Tocca a te.(あなたから始めて)」までを歌わせていません。


『ファルスタッフ』(2CD)
ファルスタッフ…マウロ・ブーダ
フォード…フェルディナンド・ルイス・チュッフォ
フェントン…カルロ・アレマーノ
カイウス…ジャンルカ・フロリス
バルドルフォ…パオロ・サラ
ピストラ…ダヴィデ・バロンチェッリ
アリーチェ…ジョヴァンナ・ドナディーニ
ナンネッタ…アリダ・バルバシーニ
クイックリー…パトリツィア・パテルモ
メグ…ロザンナ・マンカレッラ
Orchestra dell'Istituzione Concertistica Orchestrale dell'Amministrazione Provinciale di Lecce
エリザベッタ・マスキオ(指揮)
録音時期:1997年3月16日
録音場所:ポリテアマ・グレコ劇場(ライヴ)、レッチェ
録音時間:122’31

※鑑賞日:2015年2月

Falstaff Falstaff
 
Amazon

 

 
実演4回/4作品(前年比±0回)
音源17種/15作品(前年比-10種)
購入オペラ全曲盤35種(前年比-30種)
未聴オペラ全曲盤241種(前年比+19種)

★印は実演
12月  ヤナーチェク 『利口な女狐の物語』 エンゲル演出、ラッセル・デイヴィス/パリ・オペラ座管弦楽団、ツァラゴワ、ラジライネン、2008年ライヴ
12月  ヤナーチェク 『利口な女狐の物語』 マッケラス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ルチア・ポップ、イェルドゥリチカ、1981年

11月  ゴリホフ 『アイナダマール』 スパーノ/アトランタ交響楽団、アップショウ、オコナー、2005年ライヴ、対訳付き
11月★ ゴリホフ 
『アイナダマール』 粟國 淳演出、広上淳一/読売日本交響楽団、飯田みち代、石塚隆充、11月16日(日生劇場) 

10月★ ワーグナー 
『パルジファル』 クプファー演出、飯守泰次郎/東京フィルハーモニー管弦楽団、クリスティアン・フランツ、エヴェリン・ヘルリツィウス、10月5日(新国立劇場)

9月  ヤナーチェク 『カーチャ・カバノヴァー』 マッケラス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ゼーダーシュトレーム、ドヴォルスキー、1976年
9月  ヤナーチェク 
『イェヌーファ』 マッケラス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ゼーダーシュトレーム、ランドヴァ、1982年

8月  ワーグナー 
『リエンツィ』 ダウンズ/BBCノーザン交響楽団、ミッチンソン、マクドナル、1976年

7月  ワーグナー 
『パルジファル』 クナッパーツブッシュ/バイロイト祝祭劇場管弦楽団、ヴィナイ、メードル、1957年ライヴ
7月  W=フェラーリ 
『マドンナの宝石』 エレーデ/BBC交響楽団、Tinsley、Turp、1976年

6月  W=フェラーリ 
『イル・カンピエッロ』 BAREZA/トリエステ・G・ヴェルディ歌劇場、D.Mazzucato、I.d'Arcangelo、1992年
6月  W=フェラーリ 『スライ』 ヒメネス/バルセロナ・リセウ歌劇場管弦楽団、カレーラス、カバトゥ、2000年ライヴ
6月  ワーグナー 
『パルジファル』 ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団、コロ、シュレーター、75年ライヴ

3月★ コルンゴルト 
『死の都』 ホルテン演出、キズリンク/東京交響楽団、トレステン・ケール、ミーガン・ミラー、3月21日(新国立劇場) 
3月  ダルベール 『低地』 ド・ビリー/ウィーン放送交響楽団、ボータ、ガスティーン、2003年ライヴ
3月★ R.シュトラウス 
『ナクソス島のアリアドネ』 三浦安浩演出、高橋直史/ポロニア・チェンバーオーケストラ、飯塚茉莉子、清野友香莉、3月1日(新国立中劇場)

2月  ダルベール 『ゴーレム』 ブルーニエ/ボン・ベートーヴェン管弦楽団、モローズ、ライター、2010年1月ライヴ
2月  モーツァルト 『バスティアンとバスティエンヌ』 シェーナー/バイエルン国立管弦楽団、ダラポッツァ、リントナー、1975年
2月  ダルベール 
『出立』 クルカ/フィルハーモニア・フンガリカ、プライ、シュライアー、1978年
2月  グラス 『浜辺のアインシュタイン』 リーズマン/フィリップ・グラス・アンサンブル、2014年1月シャトレ座、動画

1月  シュニトケ 『愚者との生活』 ロストロポーヴィチ/ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、デュージング、リングホルツ、92年初演ライヴ、対訳付き



『リエンツィ』(全5幕)
  Rienzi
台本:作曲者
初演:1842年10月20日ドレスデン宮廷歌劇場
対訳書:五柳書院「オランダ人+リエンツィ」


4種目の鑑賞となります(聴いたのは8月)。
念願だったエドワード・ダウンズの「リエンツィ」(復元完全版)、本当に4時間40分でした(笑)

歌手はミッちゃん(ミッチンソンのこと)最高。見事でした。カリスマ性充分ですし、リエンツィの祈りは神への愛と観念、そしてかすかな望みが入り混じったような歌唱で大変素晴らしいです。コロがお好きな方は気に入るんじゃないでしょうか。他では特に、気丈な妹のイレーネ役を演じたロイス・マクドナルも素晴らしく思いました。合唱も同様です。

指揮のダウンズはワーグナー初期2作同様、こちらもお見事。流れや統率に関しては申し分なく思います。弦楽器が奥まった感じがしましたが(編成のせいでしょうか)、その分大活躍するトランペットがシャープに鳴り響き、とても気持ちいいです。
長いとはいえ音楽は充実していますし、終幕怒涛のフィナーレなんてもうたまりません。若いワーグナーの熱い意気込みがビシビシ伝わってきます。

この復元完全版とされるダウンズ盤は、手元にある五柳書院(ショット社の新全集版)のドイツ語台本と何が違うのか、気付いた違いが下記となります(他にもあるかもしれません)。通常版とされるホルライザー盤との違いも交えて。ややこしいですが(笑)

<1幕>
序曲、1分半前から始まるリエンツィの祈りのメロディはまだ低弦のまま、そのせいか序曲の時間は4種の中で一番長く13分23秒です(ホルライザーは11分38秒)。
97P-342行目の sei が違う。
最後は、ホルライザーは合唱が歌い終わった16秒後に終わりますが、ダウンズは26秒後。

<2幕>
102P-564行目の dir und Ehre Rom が違う(Rom und Ehre dir ?)。
102P-565行目の nehmt vollen Dank が違う。

<3幕>
113P-957行目の Mann が違う。
114P-1001行目から3幕最後の1027行目まで、ここはホルライザー盤ではどうなってるのか判りませんでしたが、ダウンズ盤だと…ここの合唱がまた全然聴き取れなかったりするんですが…おそらく台本通り…じゃないかなと(汗)
因みにホルライザー盤では終幕でのリエンツィ最後の歌詞等、変更されたもので歌われています。

<4幕>
117P-1116行目の wir が違う。

<5幕>
120P-1228行目の Macht が違う。
120P-1234行目の Weib が違う。

というわけでなかなか疲れる作業(笑)でしたが、台本上では大きな違いとまでは言えないかもしれませんね。今後詳しい情報を期待したいところです。
改めて通して聴いてもいますが、ちょっと緩いテンポだと演奏時間が5時間超えそうです。そこは次の指揮者にお任せということで…ってオリジナルが発見されない限りもう誰もノーカットでやらないでしょうけど(笑)

これでダウンズ盤ワーグナー初期3作を全て聴くことができました。録音時期と収録時間を纏めておきたいと思います。全て素晴らしい演奏でした。感謝感激です。

妖精  :1976年5月2日(196’23)
恋愛禁制:1976年5月23日(178’30)
リエンツィ:1976年6月27日(280’34)


『リエンツィ』(4CD)
リエンツィ(カリスマ的指導者、ローマの護民官)…John Mitchinson
イレーネ(リエンツィの妹でアドリアーノの恋人)…Lois McDonall
ステファノ・コロンナ(コロンナ家当主)…Michael Langdon
アドリアーノ・コロンナ(コロンナ家の息子でイレーネの恋人)…Lorna Haywood
パオロ・オルジーニ(オルジーニ家当主)…Raimund Herincx
ライモンド(ライモンド枢機卿)…David Ward
バロンチェッリ(ローマ市民)…Adrian de Peyer
チェッコ・デル・ヴェッキオ(ローマ市民)…Paul Hudson
平和の使者…Elizabeth Gale
BBCノーザン交響楽団
エドワード・ダウンズ(指揮)
録音時期:1976年6月27日
録音時間:78’35+79’08+60’49+62’02=280’34 

Rienzi Rienzi
 
Amazon

 

 

 

 

『パルジファル』(全3幕)
  Parsifal
台本:作曲者
初演:1882年7月26日

3種目の鑑賞となります。
最初に聴いたパルジファルはあの有名なクナ62年盤ですが、これがかすりもしなかった…。ワーグナーの音楽はとても反応しやすく、驚きや感動が半端じゃなかったけど、これだけはピクリとも反応できずで全部聴くのに5ヶ月かかったという…(笑) ワーグナーは好きなので諦めきれず、パルジファルはコロ(ケーゲル75年盤)とヴィナイ(クナ57年盤)を聴いてもダメならきっぱりと諦めるつもりでした。

初聴きから4年半経った今年の6月に、テンポが速いというのでまずケーゲル盤から音のみでCD1枚目を2回鑑賞。なんと2回ともこれはいけるという驚きの反応(笑)
前奏曲は短く感じ、あの輝く音には本当に驚きました。その他、1幕終盤の聖杯城へ向かうところの場面転換の音楽、城内で児童合唱団による信仰の動機、2幕後半のクンドリとパルジファルの長い口づけからのやりとり等は特に聴き所と思いますし、そして3幕“パルジファル(泉からひそかに水を汲むと、自分の前に跪いているクンドリの方へ身を傾けて彼女の頭を潤す)「最初の務めを、わたしはこのように果たす。さあ、この洗礼を受けて救世主を信じるように」(クンドリは頭を地面にとどくほど深く下げる。彼女は激しく泣いている様子)”の場面でも信仰の動機が、そしてフィナーレでも、本当に感動的ですし、いろいろと苦悩に満ちた作品です。
沢山の感動を与えてくれた(開眼させてくれた)ケーゲル盤には本当に感謝。ですがこのクリアな音はワーグナーからしてみたらけしからんということになるのかなとも思ったり。そして前奏曲を気に入るまでは全曲聴くもんじゃないなとつくづく思いました。

今回のクナ57年盤はそれなりの音質ですが、結構よく録れてるとも思います。収録時間は254分40秒と、ケーゲル盤に比べ34分程長いですが冗長には感じず、引き締まったドラマティックな演奏に思います。
歌手で大注目なのはやはり大好きなラモン・ヴィナイで、例によって渋い歌声に表現の幅と力強さとその歌唱センスは期待通り。これで聴いたヴィナイはパルジファル、トリスタン、タンホイザー、オテロ、カニオ、イアーゴ、ファルスタッフとなりました。
グラインドルがまた劇場内いっぱいに響き渡るような堂々とした歌唱。
合唱ではケーゲル盤で歌ってた、3幕でティトゥレルの棺が開かれたときの一同悲嘆の叫び声はこの録音では歌われていませんでした。

こうなってくると最初に聴いて全く反応出来なかったクナパル62年盤、これもいつか改めて聴かなくてはなりませんね。音楽はある日突然というのがありますが、まさかパルジファルでこんな展開になるとは正直、思っていませんでした(笑)


『パルジファル』(4CD)
クンドリー:マルタ・メードル
パルジファル:ラモン・ヴィナイ
アンフォルタス:ジョージ・ロンドン
グルネマンツ:ヨーゼフ・グラインドル
クリングゾール:トニ・ブランケンハイム
ティトゥレル:アルノルド・ファン・ミル
第1の聖杯騎士:ヴァルター・ガイスラー
第2の聖杯騎士:オットー・ヴィーナー
第1の小姓:Paula Lenchner
第2の小姓:Elisabeth Schartel
第3の小姓:Hans Krotthammer
第4の小姓:Gerhard Stolze
第1の花の乙女:Ilse Hollweg
第2の花の乙女:Friedl Poltinger
第3の花の乙女:Paula Lenchner
第4の花の乙女:Dorothea Siebert
第5の花の乙女:Lotte Rysanek
第6の花の乙女:Elisabeth Schartel
アルト独唱:ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィツ
バイロイト祝祭劇場管弦楽団
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
録音時期:1957年、バイロイトライヴ
録音時間:68’39+42’43+66’25+76’53=254’40

※小姓と花の乙女は名前しか記載されていませんでしたので、順番に従って第1から当てはめています。聖杯騎士とアルト独唱はHMVのサイトから引用しています。

 

 

 

 

オイゲン・ダルベール(1864-1932)
 『ゴーレム』(全3幕)
  Der Golem
台本:独語/Ferdinand Lion after Arthur Holitscher's
初演:1926年11月14日、フランクフルト、クレメンス・クラウス指揮

祝♪ダルベール生誕150年(^O^)/
台本のフェルディナント・リオン、なんか聞き覚えがあるなと思ったらヒンデミットの「カルディヤック」を書いてました。Arthur Holitscherはハンガリーの脚本家、小説家のようです。ゴーレムの初演はカルディヤック初演(1926年11月9日、ドレスデン国立歌劇場、フリッツ・ブッシュ指揮)の5日後。

全体的に暗く大人しい音楽で、それほど反応できませんでしたが、どうなんでしょう。ジャケットはとても素敵なんですが^^
2幕ではリアと愛の二重唱のような甘美な歌を歌うゴーレム。ひょっとしてイケメンゴーレム?
3幕冒頭は静寂から浮かび上がるような音といい旋律といい、シャリーノ「私の裏切りの瞳」を思い出しますし、ここでもリアとゴーレムはそこそこ甘美な二重唱を披露。フィナーレは律法学者のモノローグ的な独唱で幕。
ゴーレムは運用上の制約を守らないと狂暴化してしまうそうですが、音だけでは狂暴化してなかったように思います。

『ゴーレム』(2CD/独語台本付き)
ゴーレム…マルク・モローズ(Br)
律法学者…アルフレート・ライター(Bs)
若人…タンゼル・アクゼイベク(T)
リア…インゲボルク・グライナー(S)
ルドルフ2世…ジョルゴス・カナリス(Br)
ユダヤ人1…マルク・ローゼンタール(T)
ユダヤ人2…スヴェン・バッキン(Bs)
シアター・ボン合唱団
ボン・ベートーヴェン管弦楽団
シュテファン・ブルーニエ(指揮)
録音時期:2010年1月19、20、22、24日
録音場所:シアター・ボン
録音方式:デジタル(ライヴ)
収録時間:49’01+70’11=119’12
SACD Hybrid



フィリップ・グラス(1937 - )
『浜辺のアインシュタイン』
 Einstein on the Beach
初演:1976年7月25日、アヴィニヨン音楽祭
台本:英語/クリストファー・ノウレス、サミュエル・ジョンソン

おそらくさっぱり分からんだろうと思いつつも、とても気になってた作品(笑)
ニープレイ(関節劇)1の、数字の読み上げからワンットゥースリーフォー ンットゥースリーフォーファイヴシックス♪の合唱にはかなり惹きこまれました。続く1幕1場の「列車」でかなりの高揚感を味わいます。この高ぶった気分を撫でながらじんわりと冷やしてくれる「裁判」までの流れとニープレイ2まではいいけど、以降はやはりちょと長くてっ?w…頑張りましたぶっ通し4時間半(笑)
でもこの音楽ってこういう筋書きの無い作品にピッタリのような気がします?

この日も聴衆の客席への出入りは自由だったんでしょうか。同じような音楽を延々と繰り返すのって、長時間でもありますし、演奏はかなり大変なように思います。振り付けでもそうですが、30分くらい続けて頭を左右に振り続ける人とかいましたが、見てて脳がずれそう(汗) 画像は2幕2場「夜行列車」の最後の場面です。


『浜辺のアインシュタイン』
パリのシャトレ座でのライヴ
francetvinfo cultureboxで7月7まで見れるようです。

ニープレイ1
1幕1場「列車」
1幕2場「裁判」
ニープレイ2
2幕1場「舞踏1 - 宇宙船のある原野」
2幕2場「夜行列車」
ニープレイ3
3幕1場「裁判2/刑務所」
3幕2場「舞踏2 - 宇宙船のある原野」
ニープレイ4
4幕1場「建物/列車」
4幕2場「ベッド」
4幕3場「宇宙船」
ニープレイ5

Date :07 Janvier 2014
Durée :4h 36min
Auteur :Philip Glass / Robert Wilson
Musique et lyrics :Philip Glass
Chorégraphe :Lucinda Childs
Directeur Musical :Michael Riesman
Orchestre :The Philip Glass Ensemble
Chanteurs :Philip Anderson / Joe Damon Chappel / Hai-Ting Chinn / Tomás Cruz / Michèle A. Eaton / John Kawa / Lindsay Kesselman / Kate Maroney / Solange Merdinian / Gregory R. Purnhagen / Melanie Russell / Jason Charles Walker
Réalisation :Don Kent

 

 

 

アルフレット・シュニトケ(1934-1998)
 『愚者との生活』(全2幕)
  Life with an Idiot
台本:ロシア語/ヴィクトル・エロフェーエフ
作曲:1990-1991年10月
初演:1992年4月、アムステルダム

祝!シュニトケ生誕80年(^O^)/

ウィキによると、「愚者との生活」は直訳であり、もっともらしい訳は「バカと暮らして」、とあります。
仕事で失敗した<私>が、その罰として愚者を一人、家に引き入れて一緒に生活することを課せられるお話し。
愚者のヴォーヴァ役には歌詞が「エッフ!」しかありません。「(粋に)エッフ!」とか、「(夢心地で)エッフ!」とか、「(悲しげに)エッフ!」とか、いろいろです。「(幸せそうに)エッフ!(長い時間、とても嬉しそうに歌う)」なんていうのもあります。歌詞は勿論全てエッフ!です(不気味)。

そんなヴォーヴァと一緒に<妻>も<私>も、いつしかエッフエッフと歌いだしてしまったりと、よく分からないようなお話しですが、ヴォーヴァとはレーニンのニックネームで、ソ連の共産主義や官僚主義を痛烈に批判しているとのこと。その愚者役のハスキンはレーニンに似てるそうです。

あからさまに性を描いています(ヴォーヴァと<妻>、スウェーデンのマルメー歌劇場での2004ライヴ映像の一部で確認)。リズムに乗ったおぞましげな音楽とエッフエッフの大合唱。<妻>の声との絡みが強烈です。

更にヴォーヴァは<妻>の夫の<私>とも関係を結んでしまいます(これはあらすじには書かれていますが、対訳のト書きには書かれていません。前の場面もそうです)。映像での確認は出来ませんでした(汗)
終幕の最後、ヴォーヴァは<妻>の首を花切りばさみでちょん切り、首のない妻と踊ったりもします(これはト書きあり)。妻はその後、歌いもします。


『愚者との生活』 (2CD/対訳付き)
私…デイル・デュージング(Br)、ロマン・ビショフ(Br)
妻…テレサ・リングホルツ(S)
ヴォーヴァ…ハワード・ハスキン(T)
看守…レオニード・ジムネンコ(B)
マルセル・ブルースト…ロビン・レッグゲイト(Br)
ヴォーカル・アンサンブル
ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ、ピアノ、指揮)
録音場所:アムステルダム・ネーデルランド・オペラでの世界初演ライヴ(演出はポクロフスキー)
録音時期:1992年4月16-26日
録音時間:45’15+68’19=113’34

実演4回/4作品
録音27種/17作品
購入したオペラ全曲盤は65種

<実演>
  ヒンデミット 『カルディヤック』 三浦安浩演出、高橋直史/トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ、村松恒矢、吉田和夏、新国立劇場中劇場、3月3日
  ヴェルディ 『オテロ』 馬場紀雄演出、高野秀峰/CITTADINO歌劇団オーケストラ、及川尚志、江口順子、文京シビックホール、3月31日
  ライマン 『リア』 栗山民也演出、下野竜也/読売日本交響楽団、小森輝彦、腰越満美、日生劇場、11月10日
  ワーグナー 『トリスタンとイゾルデ』 伊東乾/ピアノ伴奏+小編成、池本和憲、新藤昌子、慶應大学三田北館、12月1日

<録音>
  ヴェルディ 『ファルスタッフ』 マティアセク監督、サンティ/ウィーン交響楽団、エーデルマン、ムシェリー、1963年スタジオ・プロダクション、ドイツ語歌唱、日本語字幕付き
  ワーグナー 『リエンツィ』 ホルライザー/ドレスデン・シュターツカペレ、コロ、ウェンベルク、1974-76年
  ワーグナー 『リエンツィ』 ツィリッヒ/ヘッセン放送交響楽団、、トレプトウ、アイッペーレ、1950年
  ワーグナー 『トリスタンとイゾルデ』 ケンペ/メトロポリタン歌劇場、スヴァンホルム、ヴァルナイ、1955年ライヴ
  モンテヴェルディ 『オルフェオ』 ヤーコプス/コンチェルト・ヴォカーレ、デール、ベン=ヌン、1995年

  ヴェルディ 『オテロ』 ムーティ/シカゴ交響楽団、アントネンコ、グェルフィ、ストヤノヴァ、2011年ライヴ
  ヒンデミット 『聖スザンナ』 トルトゥリエ/BBCフィルハーモニー管弦楽団、ブロック、ジョーンズ、1997年
  モンテヴェルディ 『オルフェオ』 ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、ロルフ・ジョンソン、ベアード、85年、対訳付き
  ワーグナー 『恋愛禁制』 ダウンズ/BBCノーザン交響楽団、ヘリンクス、カンテロ、1976年
  コルンゴルト 『死の都』 セーゲルスタム/スウェーデン王立歌劇場管弦楽団、スンネゴード、ダレイマン、1996年ライヴ

  コルンゴルト 『死の都』  ラインスドルフ/ミュンヘン放送管弦楽団、コロ、ネブレット、1975年、対訳付き
  ワーグナー 『妖精』 サヴァリッシュ/バイエルン放送交響楽団、モル、スチューダー、1983年ライヴ
  ワーグナー 『妖精』 エトヴェシュ/カリアリ劇場管弦楽団、Korhonen、Patchell、1998年
  バッティアート 『ジェーネジ』 ニーディ/トスカニーニ管弦楽団、ケネディ、ラ・スコーラ、1987年ライヴ 対訳付き
  ヴィトマン 『バビロン』 フラ・デルス・バウス演出、ナガノ/バイエルン国立歌劇場、2012年10月27日東京大学駒場にて鑑賞

  シャリーノ 『私の裏切りの瞳』 パーデ演出、アンジュス/アンサンブル・アルゴリトモ、タランデク、ミードル、2010年、日本語字幕付き
  ライマン 『リア』 ヴァイグレ/フランクフルト歌劇場管弦楽団、コッホ、バルトヴィンソン、2008年ライヴ
  ワーグナー 『妖精』 ダウンズ/BBCノーザン交響楽団、Garrard、Cantelo、1976年
  ゴリホフ 『アイナダマール』 ロドルフォ・フィッシャー/コロンビア国立交響楽団、Pavon、Oliver、2012.7月(ドレスリハーサル)、YouTube
  グラス 『完璧なアメリカ人』 ラッセル・デーヴィス/マドリード・レアル劇場管弦楽団、パーヴス、ピッツィンジャー、2013.2月、arte.tvサイト(映像)

  ヴェルディ 『ファルスタッフ』 グラチス/フェニーチェ歌劇場管弦楽団、ヴィナイ、ロンディ、1965年、YouTube(音のみ)
  ヴェルディ 『ファルスタッフ』 マゼール/ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ベリー、ザンカナーロ、1983年ライヴ
  ヴェルディ 『オテロ』 ビーチャム/コロン劇場管弦楽団、ヴィナイ、タッデイ、ステッラ、1958年ライヴ
  ブゾーニ 『トゥーランドット』 ナガノ/リヨン国立歌劇場管弦楽団、シュトルックマン、1991年
  ブゾーニ 『アルレッキーノ』 ナガノ/リヨン国立歌劇場管弦楽団、リヒター、1992年

  ヴェルディ 『ファルスタッフ』 バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、フィッシャー=ディースカウ、パネライ、1966年
  ヴェルディ 『オテロ』Guild盤 トスカニーニ/NBC交響楽団、ヴィナイ、ヴァルデンゴ、1947年ライヴ(第三幕リハーサル付き)



『ファルスタッフ』
   Falstaff
台本:ボーイト
初演:1893年2月9日、ミラノ・スカラ座

祝♪ヴェルディ生誕200年(^O^)/

13種目の鑑賞。
今年のヴェルディ生誕200年の締め括りは、オットー・エーデルマンのファルスタッフ。
これはYouTubeのトレーラーを見てかなり期待してましたが、全曲見て予想以上の感動を受けました。傑作。

スタジオ・プロダクションで実際に歌ってる映像に思います。
スタジオのセット、振り付け、衣装と、全てに於いてきめ細かく、歌手もよく動き回り退屈しません。
優しさや愛嬌があって味わい深い表情も見せるエーデルマンや、フォード役のグリムの熱演は見応えあり、ハマリ役に思います。

そしてなんといっても女声陣の演技が生き生きと楽しそうで本当に胸がすきます。
冷静で知的で品のあるアリーチェ、とびきり明るく芸達者なメグ、可愛らしいエンヒェン(ナンネッタ)、みな綺麗どころ。クイックリー夫人はもう少し若くてよかったかもだけど、それぞれキャラが立ってて決定的。
サンティの演奏もいいですし、最高レベルの演出と余りにも素晴らしい音楽とが相まって、途中途中や最後で涙出そうになります(笑)
ドイツ語歌唱ですが、ファルスタッフの音楽だと違和感はオテロの場合よりも個人的にはずっと小さく思います。

ワーグナーといいヴェルディといい、共に生誕200年の最後を飾るに相応しい鑑賞ができて良かったです^^

YouTube
GIUSEPPE VERDI (1813-1901): Falstaff (deutsch gesungen)(3:01)

『ファルスタッフ』
(ドイツ語歌唱/日本語字幕付)
ファルスタッフ…オットー・エーデルマン(Br)
フォード…ハンス・ギュンター・グリム(Br)
フェントン…リヒャルト・ファン・ヴルーマン(T)
カイウス先生…エーリヒ・クラウス(T)
バルドルフォ…マーシャル・レイノール(T)
アリーチェ・フォード夫人…メリッタ・ムシェリー(S)
エンヒェン…グラツィエッラ・シュッティ(S)
クイックリー夫人…エリーザベト・ヘンゲン(Ms)
メグ・ペイジ夫人…エヴァ・マリア・ゲルゲン(Ms)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン交響楽団
ネッロ・サンティ(指揮)
監督:ヘルムス・マティアセク
装置:マックス・ビグネンス
製作:1963年(スタジオ・プロダクション)
収録時間:118分
画面:モノクロ、4:3
音声:PCMモノラル
字幕:独、伊、英、仏、西、日
NTSC
Region All

Falstaff [DVD] [Import] Falstaff [DVD] [Import]
3,672円
Amazon

 

 



『リエンツィ』
 Rienzi
台本:作曲者
初演:1842年10月20日ドレスデン、ザクセン宮廷歌劇場
対訳書:日本ワーグナー協会監修「オランダ人+リエンツィ」(五柳書院)

祝♪ワーグナー生誕200年(^O^)/

外国語が読めない(楽譜もだけど)自分にとって、初期2作に加え、ついにこのオペラの全容も明らかとなりました。
正確には、自筆総譜は第二次世界大戦後に所在不明になったため、ショット社から刊行された批判版全集第3巻で「復元」されたオリジナル台本にほぼ準拠することになった、とのことです。

改めてホルライザー盤を鑑賞。
アドリアーノを男声にすると女声はイレーネだけになってしまいますが、でもやっぱり男声で聴きたいなと思ってしまいます(マタチッチ盤がそうですね)。それは仕方ないとして、はっきり言ってとても面白かった…。

序曲冒頭のトランペットからして本編と関係があります。
コロはもうこのようなカリスマ指導者やらせたらハンパじゃないですね。あのスケール感と幅のある甘い歌声のヘルデンぶりはもうたまりません。その流石のコロも、リエンツィの祈りの場面はホルライザーの緩やかなテンポにちょっと苦しそう?(笑)

合唱は女声の美しい高揚感がもうたまりません。
因みに合唱がこれ以上出番のある作品て他にあるんでしょうか。この録音に二つの合唱団が出ているのはやっぱりそのせいなんでしょうか(笑)
ホルライザーは名演。流れのいい洗練された美しい演奏。
ワーグナーの熱いエネルギーを存分に味わえる傑作に思います。

終幕リエンツィの最後の歌詞
ショット社版:
「手ひどく愚弄されたものよ。これがローマなのか。
ローマ人の名に値せぬ、惨めな者どもよ!
最後のローマ人がお前たちを呪ってやろう。
こんな町は呪いを受けて、根絶やしになればよい。
ローマよ、あとかたもなく朽ち果ててしまえ!
腐りきった汝の民がそう望んでいるぞ。」

ホルライザー盤(1847年10月のベルリン初演の際に書き換えられたもの)
「(正気を失った民よ、誰を攻撃していると思っているのか。)
私の存在を消し去れると信じているのか。
さればわが最後の言葉を聞け!
ローマの七つの丘が存続し、
この永遠の都が滅びぬ限り、
リエンツィは必ず戻ってくるぞ」

「絶望のあまり世界を呪う人間」から、「不死伝説に彩られた英雄」へと書き換えられている、とのことです(ホルライザー盤の()の所は、ショット社版の一行目を使用しています。ツィリッヒ盤も同様でした)。
というわけでリエンツィ、ワーグナー生誕200年の締め括りに相応しい鑑賞となりました。入手が絶望的なエドワード・ダウンズの4CD(4’40’00)が聴きたかったんですが、ホルライザーでももう大感激しています。
今年は妖精、恋愛禁制(共にノーカット盤)も対訳書で鑑賞できましたし、それによってワーグナーのオペラ全作品を聴いたことにもなり、本当に充実した年でした^^

以下、気付いたカット
<1幕>97~106行、157~159、169~181、281~295、357~365まで。
<2幕>374~379行、557~564(歌わせてないだけかも)、592~597(歌わせてないだけかも)、黙劇とバレエは14’05(ツィリッヒ盤は10’15)
<3幕>928~930行(歌わせてないだけかも)、933~938(歌わせてないだけかも)、961~993まで。※1001~最後の1027行は対訳書と異なっています。初演後の短縮版のようです?(ツィリッヒ盤は対訳書通り…に見えます)
<4幕>1088~1095行、1156~1158まで。
<5幕>1195~1198行まで。

『リエンツィ』(3CD)
リエンツィ(カリスマ的指導者、ローマの護民官)…ルネ・コロ
イレーネ(リエンツィの妹でアドリアーノの恋人)…シフ・ウェンベルク
ステファノ・コロンナ(コロンナ家当主)…ニコラウス・ヒルブランド
アドリアーノ・コロンナ(コロンナ家の息子でイレーネの恋人)…ジャニス・マーティン
パオロ・オルジーニ(オルジーニ家当主)…テオ・アダム
ライモンド(ライモンド枢機卿)…ジークフリート・フォーゲル
平和の使者…インゲボルク・シュプリンガー
バロンチェッリ(ローマ市民)…ペーター・シュライヤー
チェッコ・デル・ヴェッキオ(ローマ市民)…ギュンター・ライブ
ドレスデン国立歌劇場合唱団ライプツィヒ放送合唱団
シュターツカペレ・ドレスデン
ハインリヒ・ホルライザー(指揮)
録音時期:1974年8月、9月、1976年2月
録音場所:ドレスデン、ルカ教会(ステレオ/セッション)
録音時間:73’21+66’07+78’34=217’62

Rienzi Rienzi
 
Amazon