『ファルスタッフ』
Falstaff
台本:アッリーゴ・ボーイト
初演:1893年2月9日ミラノ・スカラ座
記念すべき歌劇鑑賞音源200種目はマスキオ盤『ファルスタッフ』(ファルスタッフとしては14種目)。
昨年の6月、お店でこのジャケットを見た瞬間に200種目はこれだと決めました。珍しい女性指揮者、しかもファルスタッフ、おまけに美しい横顔と指揮棒の持ち方、この如何にも的なポーズ…文句なしに一目惚れでした(笑)
そのエリザベッタ・マスキオ、攻めるところ(9重唱など)、フェントンとナンネッタのしなやかな美しい流れ、たっぷりと歌わせるところ(妖精の女王他)、劇的なフィナーレなど、流れ良く生き生きとした素晴らしい演奏。
特に2幕2場の大捕り物場面、屏風の裏にファルスタッフがいると勘違いするところからは、今まで聴いた中の一番遅いテンポでそれぞれのパートを浮き立たせるという面白い演奏。そしてフォードが屏風を倒し、ファルスタッフではなかったのでみんな驚いたところからはクッとテンポを引き締めます。
こういうパートを浮き立たせる演奏は、エールリンク盤『オテロ』2幕4場の四重唱(オテロがデズデモナとのやりとりの最中にハンカチを床に投げ捨て、それをエミーリアが拾い、イアーゴが奪い取る場面)を思い出します。
充実の歌手陣。題名役のマウロ・ブーダ最高。太鼓腹度が中とはいえ、かゆいところに手が届くようなその伸び伸びとした歌唱、苦しそうに歌うファルセットもベリグー、文句なしマイベスト太鼓腹の一人。女声陣も同様に歌ってますし、更にこんなかっこいいフェントンは初めてかも。凛々しいドラマティック・フェントンです(笑)
この瑞々しいファルスタッフはこうでなくちゃと思わせてくれる名演、大変素晴らしいと思います。200種目に相応しい名盤となりました。正に、ジャケに偽りなしですね?(笑)
この演奏では3幕2場のアリーチェ「Inoltriam.(出ていきましょう)」から、妖精たち「Tocca a te.(あなたから始めて)」までを歌わせていません。
『ファルスタッフ』(2CD)
ファルスタッフ…マウロ・ブーダ
フォード…フェルディナンド・ルイス・チュッフォ
フェントン…カルロ・アレマーノ
カイウス…ジャンルカ・フロリス
バルドルフォ…パオロ・サラ
ピストラ…ダヴィデ・バロンチェッリ
アリーチェ…ジョヴァンナ・ドナディーニ
ナンネッタ…アリダ・バルバシーニ
クイックリー…パトリツィア・パテルモ
メグ…ロザンナ・マンカレッラ
Orchestra dell'Istituzione Concertistica Orchestrale dell'Amministrazione Provinciale di Lecce
エリザベッタ・マスキオ(指揮)
録音時期:1997年3月16日
録音場所:ポリテアマ・グレコ劇場(ライヴ)、レッチェ
録音時間:122’31
※鑑賞日:2015年2月
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Falstaff
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