最近、ネットの記事等で

「二次被害」という言葉が二通りに

使われているのを見かけたため、

クリアにしておきたいと思います。

 

いわゆる「二次被害

(secondary traumatization)」は、

実際に怒った被害を誰かに語ろうとしたり、

助けを得ようとしたりしたときに

拒絶されたり、誤解されたり、

適切に共感してもらえなかったりで

生じる「被害」のことです。

 

これが起こりやすいのは、

例えば警察による聴取や、

病院で治療を受けようとした際

などですが、

メンタルの専門家でも

起こしてしまいうることです。

(そうあってはいけないのですが。)

 

被害者は出来事を詳細に語ろうとすると、

それを追体験してしまいます。

追体験してトラウマ的反応を

起こさないためには、

適切な感情を当て込んでいく

必要があるのですが、

これがまさにカウンセリングなどの

治療で行われるべきことです。

 

被害者は被害で

自分がぐらぐら揺らいだ状態に

なっていますから、

警察や病院などで無神経な扱いを

受けたり、信じてもらえなかったりすると、

それも「被害」と感じられてしまうのです。

 

これを亡くす・減らすには、

そうした関係者が十分にトラウマの

知識を持ち、コミュニケーションの方法を

修得するしかないでしょう。

 

一方、最近ある方(元援助者)が

「被害にあった人の援助をしていたとき

二次被害が嫌だった」的なコメントをされていましたが、

これは正確には二次被害でなく

「代理被害(代理的被害)

(vicarious traumatization)」です。

これは、援助者・治療者などが

被害者の話を詳細に聞くとき、

自分や相手の感情の動きや、

相手との距離感が適切でないため、

共感によってあたかも自分も

被害を受けたようになってしまうことで、

援助者が注意しなければならない点です。

 

前述の感情を適切に

当て込んでいくことや、

被害者や話の感情との適切な距離を

取り、場合によっては「引く」こと、

聞く量や仕事そのものの量などを

コントロールすること、

また日頃自分のストレスマネジメントを

しっかりしておくこと、

などが重要になってきます。

 

いずれにせよトラウマ・被害というのは

一生回復できず、ずっと

抱え込んでいないといけないものでは

ありません。

社会の誤解や歪んだ見方が改善され、

上記のような知識やスキルが

行き渡ることが、

被害者が余計な被害・二次被害を

受けないためにも大切です。