明日への介護~現場から~ 28 | 福祉を通してほほえみ溢れる社会を創る

福祉を通してほほえみ溢れる社会を創る

誰もが自分らしく生きていける世の中になったらいいな。
福祉を通してそんな世の中の実現に向けて歩んでいきます。
まずは目の前にいる大切な人たちから・・・

第28回 「友達以上、恋人未満」


「ちょっと聞いてよ!」という大きな声とともに事務所の扉が開きました。


「また?」


私は思いました。


ホームで出会った入居者同士が「友達以上、恋人未満」の関係になって、しょっちゅうけんかをしては駆け込んでくるのです。


「今日はどんなことか」と耳を傾けると「あの人の言葉使いが嫌なのよ。私は奥さんでもないのに。」


どこにでもある、いわゆる内輪げんかです。


「入居者の方のことだから」と思う反面、「こんなことまで聞かないといけないの?」と自問自答する日々。


相手は「後で聞きますね」が通用しないつわもので、介護のプロとして「いまこのときに対応しなくては」と思いながらも、少々苦痛に感じることもあるのです。


こんなことがあったかと思うと、翌日には仲直りしたようで、2人そろって仲良く食堂に降りて来られる。


そうした繰り返しなのですが、あるとき、ふとしたきっかけで「けんかをしても、やっぱり気になるのよ」という言葉を聴くことができました。


そう、きっとすべては寂しさの裏返しなのでしょう。


介護保険制度が導入されてから、自己決定に基づいてサービスを提供していく時代になりました。


しかし、ホームへの入居を心から望んで決めたという人は少ないのではないでしょうか。


この何とも言えない「寂しさ」に寄り添い、共に生きていくのも介護の仕事の一つなのだと思います。


と、頭でわかったつもりでも、なかなか仏様のような心になれない自分がいます。


人生は修行ですね。