やっぱり、好きなんだろう、彼女のことを。
最近、「賢者の贈り物」という物語をよく思い出す。
物語の舞台は、不況にあえぐニューヨークの下町。 つつましく暮らす若い夫婦が主人公です。
貧しい二人ですが、それぞれかけがえのない大切な物を一つずつ持っていました。
夫のジムは、祖父から受け継いだ立派な金時計、妻のデラは腰までもある美しい髪です。
クリスマスの前日、お互いの持ち金は1ドル87セントしかありません。
それは、クリスマスのプレゼントを買う為に、毎日少しずつお金を貯めたのです。
「ついにこの日が来てしまったのね…。このお金じゃプレゼントなんて買えやしない…」
と、デラはつぶやきました。
デラは、自分の髪を鏡の前で切り始めました。
その輝く髪の毛は、デラの辺りをキラキラと輝きながら落ちていきました。
髪を切り終わり、デラは数分間、鏡の前で自分を見つめていました。
自分の変わった姿を見たデラは、涙を浮かべ、床に数滴落ちました。
彼女は夫のプレゼントを買う為にその長い髪をカツラ屋に売ってしまいます。
カツラ屋の主人は、髪を見た瞬間「20ドル」と言い放ち、
デラは「すぐお金を下さい」と、言いました。
買い求めた物はジムの金時計につけるプラチナの鎖でした。
彼が、古びた皮ひもを時計につけて、恥ずかしく思っているのを知ったからです。
デラは、自分の短くなった髪を見てジムがどう思うか心配でたまりませんでした。
「髪は短くなったけれども、今の私でも愛してくれますように…」
デラは神様に何回もお祈りをしました。
さて、帰宅した夫は髪の短くなった妻を見て、びっくりしました。
なぜなら彼は、デラの美しい髪を飾る 高価なべっ甲クシを、自慢の時計を売って 買ってきたのです。
皮肉な結末でしょうか。いいえ、相手の為に、お互いの一番大切な物を手放すという思いやり。
それは、何よりの贈り物であるに違いありません。