名匠岡本喜八監督の初期の傑作『独立愚連隊』(1959年)と
同じ年に製作されたクライムアクション『暗黒街の顔役』
がシリーズ化され2作目が今作『暗黒街の対決』である。
原作は大藪春彦の初期の作品である『血の罠』。
1作目の『暗黒街の顔役』の主役である鶴田浩二が
今作では脇役に回り主演は三船敏郎。
二大スターが共演している珍しい作品。
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あらすじ
ある地方都市である荒神市に札付きの汚職刑事である
藤丘(三船敏郎)は赴任してくる。荒神市は新興ヤクザの大岡組と
古手の小塚組の2つの暴力団が対立しており、藤丘は
ひょっとしたことから妻を交通事故で失ったバーの経営者
鉄雄(鶴田浩二)と知り合う。鉄雄の妻は藤丘の女だったが
対立する小塚組にいた鉄雄の妻となったのちに死亡していた。
大岡組は市役所の上層部を抱き込んで小塚組の利権である
砂利採取権を取り上げ、藤丘組に与える決定がされたことに
より壮絶な殺し合いが始まっていく…
重要な点
なんだが『用心棒』の現代版みたいな話と思って観ていたのだが、
調べてびっくりした。今作は1960年公開で、
黒沢明監督の用心棒(1961年)よりも早い。つまりは黒澤監督より早く
三船敏郎に対立する二大組織に潜入し、両方とも壊滅させる役を
撮影していたことになる。
元々は原作者の大藪春彦氏の作品のプロットだからその点も評価されるべき。
さらにすごいのは得意のユーモラスな演出でエッセンスを利かせる
ことにより大藪作品の痛快さを残しながら、血生臭い点を消し去って
男の友情の物語がテーマのアクション巨編に昇華している点。
流石は手練れの岡本喜八である。
良かった点
三船敏郎と鶴田浩二の陽と陰の対比。
演技の特性を活かした配役も素晴らしい。
岡本組(常連の名優たち)もいい仕事をしている。
キャバレーで歌う殺し屋衆というのも最高だ。
悪かった点
娯楽作品のお手本のような作品で悪い点があまりないのが
悪い点(笑)というべきか。モノクロだがその点も
作風(フィルムノアール)形成に大いに貢献している。