竹山ひとり旅(1977年近代映画協会・ジアンジアン) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

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映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

林隆三の代表作。大河ドラマ『黄金の日々』や

『ハングマン』(主役だったが中盤で爆死する設定で降板)

などで渋い演技をする俳優と知っていたが主演映画は少ない。

ピアニストとしても一流の腕前でライブをやっていたなど

意外と知られていない一面を持っておられた方のようだ。

 

 

 

あらすじ

三味線の名人高橋竹山の若き日を描く。竹山こと定蔵(林隆三)は青森の貧しい農家に生まれるが

三才の時はしかに罹り、失明する。母親のトヨ(乙羽信子)は音感のよい定蔵に

三味線を与え、隣村のボサマ(観世栄夫)に弟子入りさせる。厳しい修行に一度は逃げ出した定蔵

だがトヨに諭され、修行を続け、一本立ちする日が来る。三味線弾きとして東北地方を周り三味線を弾いて御布施として食べ物やお金をもらう日々。定蔵は様々な人々と交流しながら旅を続けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重要な点

近代映画協会は名匠新藤兼人監督の映画を製作する会社で、

『竹山ひとり旅』で林隆三は第一回日本アカデミー賞主演男優賞

を受賞している。新藤兼人監督の演出はベタだが東北の美しい四季、

貧しいながらも明るく生き抜く芸人たち。そして母親と妻

の深い愛を抒情的に描いている。

 

良かった点

主演の林隆三は人間味あふれる竹山を好演。それ以上に存在感があったのは

母親トヨを演じた乙羽信子。竹山が悩み苦しむ時に必ずトヨが現れ、

竹山を救うのには涙が出た。二番目の妻フジ役の倍賞美津子も素晴らしかった。

ラストに希望を失い死にかけた竹山を二人で抱きかかえるシーンには

深い愛情を感じた。

 

悪かった点

基本的には悪い人は出てこないが、金持ち風の悪い奴には

腹が立った。悪役で有名な戸浦六宏が飴売りの彦六という

面白い役だったし、殿山泰司も最高だった。

タイトルはひとり旅だが、基本的には芸人さんと一緒に旅する

ことが多いのも面白い。