上方苦界草紙(1991年松竹) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

藤本義一と言う作家。

正直11PMの司会しか覚えていない。

とはいっても内容も覚えていないが

こんな凄い芸人の話を書いていたとはビックリ。

 

 

 

 

あらすじ

明治初期。お杉(葉山レイコ)、お玉(依田由加),お文(原田和代)の三姉妹は

生きるために義父の源(井川比佐志)と再婚した母ます江(片桐夕子)

により伊勢街道の芸人姉妹お杉とお玉として三味線の芸人となった。

三味線の師匠として呼ばれたお満(小川真由美)に源を寝取られたます江は

姉妹を捨てて男と駆け落ちする。お文はお満と共に三味線の旅に出るが

やがてお玉が若い男と駆け落ちしたことでお玉のかわりにお玉として

三味線を伊勢街道で弾くことになったが…

 

重要な点

村野鐵太郎監督は篠田正浩、和田勉と早稲田大学で同期とのこと。

大映に入社後助監督を長く勤めた苦労人で格式高い映像と

芸術色が強い作品を晩年に撮っているが今作も凄まじい作品であった。

生きるためとはいえ三味線一本で高みを目指すお文(お玉)の生き様は

壮絶で、途中で観るのがつらくなるほど濃い作風であった。

最後まで観終わると一陣の風が吹くような凄愴なまでの

寂寞感というか孤独感が何故か心地よく感じられた。

監督の死生観みたいなものが表現されているからであろうか?

お文は自由になったのか?自分の三味線を弾くことができたのか?

答えはないが余韻の中そう感じさせられた。

 

良かった点

お満の小川真由美は相変わらずの存在感。壮絶な生き様。

そして美しい姉お杉こと葉山レイコ。演技開眼した感あり。

主役の原田和代も若いが三味線一筋の強さをもつお玉を身体を張って熱演。

 

悪かった点

義父の源を演じた井川比佐志は金の亡者になりきっている。

そして唯一の善人として現れる峰岸徹の所作の美しさ。

2枚目役がこんなに似合う役者とは気付かなかった。