堕靡泥の星/美少女狩り(1979年にっかつ) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

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映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

劇画家の佐藤まさあき原作の渾身のSM劇画の映画化。

原作の壮絶な描写は知ってはいたが映画化されていたことに

驚く。今ではコンプライアンスにひっかかりまくりそうな

危険な原作をルパン三世等で知られる大和屋竺脚本を

東映から呼ばれた『トラック野郎シリーズ』の鈴木則文が監督の力作。

にっかつに外部からの監督が入るのは初めてで、

企画のそのものは1977年からあったがお蔵入りしかけており

鈴木則文が東映に掛け合って実現しただけに中々の完成度だ。

 

 

達也

 

あらすじ

神納達也は20歳となり後見人の宮原教授に

亡父(名和宏)の資産である土地の一部を売却し1億円で

屋敷を改修する希望を伝える。20歳になったこともあり

自由にしてよいと伝える宮原の横には達也を慕う宮原の娘

由美子(波乃ひろみ)の姿があった。資産を相続した達也は

父親の愛人である佐恵子(岡本麗)を広大な自宅に呼び出すと

凌辱した上殺害する。達也の悪の血が目覚めた瞬間であった。

暗い出生の秘密を持つ達也はその後、次々に女性を毒牙にかけていく…

 

 

 

重要な点

にっかつロマンポルノのSMシリーズと言えば団鬼六シリーズだが

そことは明らかに一線を画している。『堕靡泥の星』は主人公の

暗い宿命や退廃的な思想がある意味、芸術性を感じさせる部分があるのは確かだ

そこを逆手に取った大和屋竺の脚本が素晴らしい。

またにっかつに石井輝男仕込みの東映の勢いのある映像を送り込んだ

鈴木則文監督の手腕は大したものだ。エロさと退廃した芸術性、そして

ストーリーの面白さを全て成立させている。大傑作。

 

良かった点

女優陣の脱ぎっぷりもよくそれぞれ個性的で魅力的。

現代にしてみればそこまで美人でもないのかもしれないが

ボディはグラマラスでそれぞれに味がある。母親役の飛鳥裕子

そしてヒロインでファムファタールの波乃ひろみが特に

存在感があったが、他の女優もそれぞれ華があり美しかった。

 

悪かった点

俳優陣も名和宏、山本昌平と曲者揃いの中

主演の土門峻が素晴らしかった。彼は1982年頃

引退してしまったようだがこれは代表作と言える。

上映時間は100分と日活にしては長めだが

ラストの衝撃も含めて素晴らしい完成度であっという間に

感じたのは監督の腕であろう。