ショーン・コネリーの最後の主演作で007シリーズ7作目。
とは言っても1983年にイーオンプロダクションではない製作で
『ネバー・セイ・ネバー・アゲイン』(シリーズではない)が撮影されており
厳密な意味では最終作ではない。TV放映で部分部分は観ていたが
何とちゃんと見るのは初めてであった。
あらすじ
宿敵プロフィルド(チャールズ・グレイ)を追い詰めるジェームス・ボンド
死闘の末、ようやくプロフィルドを葬り去ったボンドは上司のMから
世界をまたにかけるダイヤモンドの密輸組織を壊滅させるように命令を受ける。
組織の運び屋フランクスとして謎の女性ティファニー(ジル・セント・ジョン)
と接触するボンド。ロンドン~アムステルダム~ロスアンゼルスへと舞台は
変わっていく。ティファニーと組んだボンドは組織のボスの正体を探るが…
重要な点
ガイ・ハミルトン監督は『ゴールドフィンガー』でシリーズの世界観を構築した
功績は大きいが、今作ではプロデューサーの意向もあってか荒唐無稽化が激しい。
正直言って様式美というよりも、これはもはやコメディタッチだ。
次回作の『死ぬのは奴らだ』からロジャームーア主演となりさらにライトなタッチに
変わっていくが、今作品からすでに陳腐化(劣化)が酷い。
当初の内容はゴールドフィンガーの兄弟がダイヤの密輸組織のボスという設定で
ゴールドフィンガー役のゲルト・フレーベに再登板してもらう予定が変わった事
『スペクター』の名称をイアン・フレミングが勝手に使用したことから権利者とこじれた
こともあり、『スペクター』なる組織は(2015年に復活するまで)今作が最後となる。
またストーリーの繋がりが悪く細かい点で整合性が取れていないなど、
なんだかんだと問題点を挙げるとキリがないが、何とかボンド映画としては体裁を保っている。
良かった点
ジル・セント・ジョンが歴代ボンドガール中でもかなりのビッチ振りを発揮。
もはや峰不二子レベルだ。スタイルも良いし、色気もあり素晴らしかった。
悪かった点
残念ながらショーン・コネリーがオシャレで気の利いたセリフ
というよりもブラックなセリフが多い。また『2度死ぬ』(1967年)
から4年経ってコネリーの劣化(おじさん化)が進んでいるのだ。
これはロジャー・ムーアに交代した理由としても理解できる。
ロジャー・ムーアの軽妙なユーモアのセンスが時代に求められたのだろう。
またプロフィルドを演じたチャールズ・グレイはいい役者だが
顔が四角いので歴代のプロフィルドのイメージと違うのが残念。
またプロフィルドとしての行動が非情さが少なく、詰めが甘い点も
違和感が大きい。
結果論だが、興行成績が良かったのが全てを救ったようだ。