佐木隆三原作のアクション映画。
岩城滉一が脂がのっていた頃の主演作。
同じ原作者の『海燕ジョーの奇跡』と同じ世界観の作品。
監督は和泉聖治。TVドラマ『相棒』シリーズのメイン監督である。
あらすじ
プロボクサーの哲(柳葉敏郎)は恋人の礼子(安田成美)とともに沖縄に移住して
氷屋で働いている。哲の家で飲んだ友人が琉球連合の車にちょっかい出した
ことから喧嘩になり、仲裁に入った哲が殺されてしまう。1カ月後、
フィリピンから哲の兄亮(岩城滉一)が沖縄にやってくる。
生き残った友人から哲の死の真相を聞き出した亮は復讐を開始する。
重要な点
『海燕ジョーの奇跡』と世界観は同じだがこちらでは
タイトルの『南へ走れ、海の道を』に行きつくまでの話。
※ジョーは海の道をたどっていく話でもある。
和泉監督は成人映画出身の職人監督でTVドラマの刑事ものも多数演出していて
この作品でも沖縄の美しい自然を取り入れながら手堅く演出している。
良く言えば今風の映像。悪く言えば個性がないオーソドックス作風。
相棒では脚本の良し悪しが評価を決めることが多いと感じていたが、
この映画の場合は脚本が今一つ。最後に引き金をためらうのは
最後の伏線で仕方ないにしても最初の襲撃で頭を打たないのは
いかがなものかと感じた。
良かった点
安田成美と鰐淵晴子がとても美しかった。鰐淵晴子はもう少し出番が欲しかった。
岩城滉一は鍛えた肉体でハードアクションをこなしていて素晴らしかった。
この頃はあまりハードボイルドは流行っていなかったせいか
映画自体が目立っていないのが残念。
ムツゴロウ先生(畑正憲)と睦五朗のムツゴロウ共演は凄いことかも。
悪かった点
室田日出男、睦五郎、片桐竜次の悪役三人と
峰岸徹は安定のうまさ。萩原健一がカメオ出演している。
スタイルッシュな映像だが、よく考えると救いがない悲劇かも。
そもそも柳葉さんは警察に行けばよかっただけだし。