萩原健一という俳優は山あり谷ありの人生。名優にしてトラブルメーカー。
キャスティングする側も気を使ったのではないか?
2004年の映画降板の恐喝騒動を覚えている方も多いと思う。
長い俳優生活の中でも1990年代は映画とTVドラマでかなり活躍していて
傑作『いつかギラギラする日』や『居酒屋ゆうれい』、TVでは『課長さんの厄年』など、
傑作に精力的に出演している。この作品もその頃の作品である。
あらすじ
金町恒産のチンピラヒロシ(渡部篤郎)は池袋で対立する組の大石翠会の久夫(北村一輝)
とは少年鑑別所以来の友達。金町恒産の村越(萩原健一)が7年振りに出所することになり、
ヒロシは専務の新良(萩原流行)から村越の運転手を命じられるが村越に組に戻る気はない
と話す。村越が昔の抗争のいきさつから翠会の黒川(菅田俊)に命を狙われるが、
村越はヒロシを盾にして黒川を追い払う。翠会に乗り込み、引退する旨を話した村越は
東京を離れた。村越の引退を信じない両組織の幹部たちの中で、村越の存在が
収まっていた抗争に再び火が付こうとしていた。
重要な点
主役は渡部篤郎でショーケンは途中出番が少ない。
90年代から今も活躍しているいい俳優が多数出演。渡部篤郎、北村一輝、宇梶剛士。
また脇役も本田博太郎や菅田俊、萩原流行、などいい役者さんが多数出演。
キャスティングは素晴らしい。
良かった点
ラストの劇場のシーンは長丁場で面白かった。タランティーノの『レザボアドッグ』を思わせる
撃ち合い(隠れずそのまま立って撃ち合う)は観ているのは爽快だが実際の撃ち合いでは
自分ならばやりたくない。女優は片岡礼子と青山知可子の二人は綺麗だが薄幸でした。
中山麻理は必要なかった気がする。
悪かった点
面白い作品だが、脚本が大学生レベル。命のやり取りをするやくざにしては
リアリズムがない。同じキャストで深作監督・笠原和夫脚本で撮ったらかなり傑作が出来そう。
ラストのナレーションなども『仁義なき戦い』をリスペクトしてることが理解できるが
実際の組織はそんなに甘くないし、伏線の張り方もあったはず。
90年代バブルの悪影響か。まあ東映製作じやないので無理も言えない。