江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者(1976年日活) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

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映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

屋根裏の散歩者は数度にわたって映画化されており、

こちらは日活ロマンポルノ1976年の作品。

ロマンポルノとは言え乱歩エキスたっぷりの作品であった。

 

 

あらすじ

郷田三郎(石橋蓮司)は下宿の東栄館の屋根裏を散歩している。

えせ宗教家の遠藤(八代康二)、ボディペイントする画家の美幸(渡辺とく子)、

そして貴婦人美那子(宮下順子)の隠し部屋で人間椅子でピエロと

戯れる美那子を観ているうちに三郎は遠藤を寝ているうちに屋根裏から毒を盛って

殺す計画を立てて実行していく。美那子は天井裏からの視線に気づき

三郎を意識するようになる。やがて二人は出会うが。

 

重要な点

ロマンポルノと侮るなかれ、田中登監督の映像美

と構成は乱歩独特の怪しい世界を見事に構築している。

エロスと快楽殺人の境界線がわからなくなっていく。

ここまで凄いとエロチシズムというよりももはや芸術であろう。

ラストは関東大震災で全ては灰に帰すがそれはある意味救いだろう。

 

良かった点

宮下順子の美しさが群を抜いている。

そして悪女ぶりもまた群を抜いている。

石橋蓮司もぶっ飛んだ演技で存在感を感じさせる。

屋根裏の散歩者だけでなく人間椅子の要素も

取り入れた演出も凄い。

 

悪かった点

明智小五郎が出てこないうえに

ミステリーとして成立してもいない。

どちらかといえばスリラーかホラーの要素というべきか

ただここまで作り上げたスタッフの力量は確かだ。