スローなブギにしてくれ(1981年角川春樹事務所・東映) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

昔TVで深夜にほうそうされていて観たはずだが覚えていないので再見。

人間歳を取ると物事の見方が変わってくるらしく、

以前観たときは浅野温子が可愛いというイメージしかなかったが

山崎努扮するムスタングの男に感情移入できた。

逆に古尾谷雅人には『落ち着け』とアドバイスしたくなった。

 

 

 

 

 

あらすじ

ムスタングに乗る男(山崎努)と喧嘩して車から降りるゆき乃という少女を

偶然助けたゴロー(古尾谷雅人)はゆき乃と同居を始める。

ムスタングの男は宮里(原田芳雄)と敬子(浅野裕子)と奇妙な同居生活を続けていたが、

宮里が急死したことにより生活のバランスが崩れていく。

ゴローと喧嘩したゆき乃はムスタングの男と高原のホテルに旅にでるが、

ムスタングの男は妻と娘と離婚するために来ていることを知る。

やがてゴローにもムスタングの男にも愛想を尽かしたゆき乃は姿を消すが。

 

重要な点

『ダイヤモンドは傷つかない』と被っているイメージが強いのですが

監督は同じ藤田敏八なんですね。山崎努のポジションも

似ている。流石は名優で存在感はあります。

こんな中年だったらモテるだろうなオーラ出しまくりです。

(※残念ながら自分にはそんなオーラもお金もないですが)

 

良かった点

福生市の基地周辺の雰囲気とムスタングの男が暮らすアメリカンハウス

がとても素晴らしい。敬子役の浅野裕子さんはあの名曲『蘇る金狼』の作詞家で

女優としても雰囲気があって大人色気を発散している。

またスナック『クイーンエリザベス』のマスター役の室田日出男が

素晴らしくいい役。この作品で数少ない普通の良い人です。

 

悪かった点

この映画では人を抉るナイフのようなセリフが多用されていて、ズバズバお互いに傷つけあう。

本当に愛しているからこそ出るセリフかもしれないが、テンションが下がっている時

観ると余計に痛みを感じる。

余談だが、演技者は非日常を要求され、その中で日常は常識人としての生き方を要求される。

今は演技者にとって生き辛い世界になっているのかもしれない。

昔は勝新太郎など大スターとしての破天荒な生き方が許されていた。

最近若手俳優の自殺など(古尾谷雅人さんも亡くなられた)のニュースを

観るたびにそんなことを考える。

セリフだけでなく、線路をバイクで走ったり、飲酒運転したり

今では絶対ゆるされないシーンがあるのも気になった。

しかしながら作品としては当時はありだったのだろう。