深作欣二監督、菅原文太主演の実録路線のヤクザ映画。
前作『博徒外人部隊』(鶴田浩二主演)とも
共通するテーマでもある:戦後の混乱期から高度成長期に
時代が変わるにつれて破天荒な生き方
許されなくなったアウトローの生き様、散り様を描いた傑作。
作風は翌年(1973年)の『仁義なき戦い』の演出に近く、
いわゆる深作タッチが完成しつつあるが、
こちらはもっと衝動的だ。どちらかと言えば深作監督、
渡哲也主演の『仁義の墓場』(1975年)に近い
感覚的な痛みを感じる映画である。
アウトローとして組織に反抗する生き様(仁義の墓場)と
組織の中でしがらみに縛られ苦労する生き様(仁義なき戦い)
の違いといったところか。
あらすじ
愚連隊としてやくざと抗争し、5年後出所してきた沖田(菅原文太)
は再び若い者を集めて地元を仕切る滝川組と対立するが、はぐれヤクザの
木崎(小池朝雄)の知恵を借り、滝川組と対立する矢頭組の矢頭(安藤昇)
の盃を受けて縄張りを確保することに成功するが、滝川組は関西の
サイエイ会を担ぎだしたことから運命は暗転していく。
重要な点
安藤昇扮するダンディな矢頭は沖田に目をかけて助ける。
過去の自分に似ているというだけで、そこまでする強烈な任侠道の
意地を通す凄まじさを感じた。
良かった点
若手の小林稔侍、地井武男が素晴らしい。もちろん文太アニィの魅力も
最高だ。小池朝雄は裏切りそうで裏切らない珍しい役だった。
悪かった点
渚まゆみの演じる情が深いヒロインが強烈なインパクトだった。
赤飯の🍙のエピソードが泣ける。