映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

『007』シリーズ(007は殺しの番号)1962年の大ヒットで

スパイ映画ブームが起こり、英国の作家レイ・デントンの原作で

1965年から製作されたハリー・パーマーシリーズ

名優マイケル・ケイン主演で三本製作され、

1作目『国際諜報局』(1965年)2作目が今作(1966年)

3作目『10億ドルの頭脳』(1967年)のラインナップとなっている。

後年のオースティン・パワーズシリーズにもオマージュ(天然パーマと眼鏡)

されている。※マイケル・ケインも出演している。

 

 

 

 

あらすじ

冷戦下の60年代、元陸軍伍長のハリー(マイケル・ケイン)は戦時物資の横流しの

罪の代償として英国陸軍情報部のロス大佐(ガイ・トールマン)の元でスパイとして活動していた。

自由を求めて東ベルリンから逃亡する音楽家がもてはやされていた分割された西ベルリン

でKGBのストック大佐(オスカー・ホモルカ)を東側から亡命させるように指令を受けたハリーは西ベルリン駐在のバルカン(ポール・ハブシュミット)とともに活動を開始するが…

 

 

 

 

 

重要な点

パーマーシリーズはスパイブームに製作されている作品だが、

後年の評価も高い。何より007の製作者であるハリー・ハルツマン

に気にいられたこともヒットの原因であろう。原作では一人称のため名前は

なかったので主演のマイケルは製作者のハリーをもらってハリー・パーマー

と名付けたという。監督も007シリーズを4本撮影したガイ・ハミルトン。

※ゴールドフィンガー、ダイヤモンドは永遠に、死ぬのは奴らだ、黄金銃を持つ男

ミステリータッチで二転三転する展開もガイが上手く仕掛けている。

 

悪かった点

前半は皮肉たっぷりなハリーの毒舌は楽しいが事件の全体像が

分からず正直眠い展開。ハリーはいやいやながらスパイをやっているし

労働者階級なので爽快感が少ない。しかし中盤の亡命シーンから

一気に展開し、最後まで見ごたえがあった。

 

良かった点

何を考えているのか?何も考えていないのか?わからないマイケル・ケインの名演技。

最後は全て丸く収まるとも思いきや、やや苦いラストも素晴らしかった。

ガイ・ハミルトン演出に完全にやられた感じだ。後の2本も観てみたい。

『スペースコブラ』や『ゴクウ』『カブト』など

寺沢武一氏の作品には個性的なデザイン。特にセクシーな女性の

コスチュームは不可欠。TVアニメでは難しいがOVAならば

色々な縛りもなく製作しやすかったのかもしれないが、

Ⅱでゴクウの映像化は終わってしまったのが残念だ。

 

 

 

 

あらすじ

元刑事で神の左目を持つ私立探偵ゴクウ(松田重治)は

法外な報酬で兄リュウを探す様に謎の美女良子(藤田淑子)から依頼される。

リュウは良子とリュウの養父である軍人の善蔵により生体実験さえている

とのこと。納得いかないゴクウは捜査を続けるがそこにリュウが現れ、

周辺は大惨事となる。良子がまだ何か隠していると当たりを付けたゴクウは

良子の哀しい過去を知ることとなる…

 

 

 

重要な点

 

監督は前作と同じ川尻義昭。いい仕事している。

このまま原作全て映像化して欲しいと感じた。

原作の出来栄えは素晴らしいので良い作品が撮れたと思う。

 

良かった点

 

『チャイナタウン』などジャック・ニコルスンにも好きな方には

かなりオススメです、

主役の声の松田善治はいい仕事している。ラスボスの小林清志

も流石の貫禄を感じた。

 

悪かった点

エンディングテーマはⅠと同じ

葛城ユキが歌う『Fighting in The Danger』が

フルコーラスで流れていく。

夜の車が走り抜ける闇にスタッフやキャストが映し出される

演出は主人公の最後のセリフと相まってぐっとくる。

葛城ユキ氏には数々の名曲があるが、この曲は彼女独特のハスキーボイスで

夜の闇に叫ぶようにシャウトしながらも包み込むような母性を

感じさせる心に沁みる良い曲だ。

この曲を聴くためだけにこのアニメを鑑賞する価値がある。

 

 

 

 

最近なくなられた天才的のクリエーター/漫画家の

寺沢武一先生の原作による近未来SFハードボイルドアニメ。

寺沢先生は左手にサイコガンを持つ海賊コブラを主役にした

『コブラ』が有名で。こちらは原作の漫画は観ていたがアニメ版は

初めてみた。今作はゴクウが超人的な能力を得る誕生編といった

すとーりーである。

 

 

 

 

あらすじ

全てのものがコンピューターにリンクされた近未来の日本。

元刑事の探偵風林寺悟空は警察時代の同僚が次々に死を遂げる

事件の容疑者である死の商人の白竜を追跡中に敵の罠に落ちるが

自ら左目を刺し辛くも逃れる。気が付いた時、悟空は何者か

より世界中のコンピューターにアクセスできる義眼と伸縮自在のステック

状の武器『如意棒』を与えられる。悟空は左の力を利用して白竜を

追いつめていく…

 

 

 

 

 

重要な点

今作のアニメ制作はマッドハウスが担当している。マッドハウスは

虫プロの従業員だった丸山正雄出崎統りんたろう川尻善昭らが、

独立して設立した会社で創成期は出崎統と杉野昭夫のペアで東京ムービーの

スポ根もの『エースをねらえ』『あしたのジョー2』などを中心に

製作していた。『ゴクウ』も1982年のアニメ『スペースコブラ』を

東京ムービーで製作したことからマッドハウスに話が来たようだ。

監督は川尻善昭。ハードボイルドタッチの作品を得意としている。

 

良かった点

寺沢武一のSF冒険もの『スペースコブラ』よりも今作の方が、

クールでハードボイルドタッチの作風で楽しめた。

出てくる女性キャラは少ないが魅力的だ。

 

悪かった点

50分という作品の時間が短いこと。

全原作を映像化したわけではないことなど

残念な点は多いが作品の質を貶めるものではない。

葛城ユキが歌う主題歌が素晴らしかった。

 

少年ジャンプに連載されていたあんど周慶作によるコメディ

『究極‼変態仮面』が原作。

少年誌にあるまじき世界観で、連載当時からインパクト大な内容であったが、

ここまで実写版で真面目に作り上げるとは素晴らしい。

元々小栗旬が主役を希望していたが事務所からOKが出ず断念した経緯がある。

そのため小栗は脚本に協力している。

 

 

 

 

あらすじ

警視庁捜査一課の刑事の父とSMの女王の母を両親にもつ

紅麗高校生の色丞狂介は転校生の姫野愛子に一目惚れする。

下校途中にサラ金強盗に巻き込まれた愛子を助けるため、

サラ金に潜入した狂介だったが強盗一味の一人を倒して覆面をうばい、

成りすまして愛子を助ける予定が間違って

女子ロッカーにあったパンティーを

被ってしまったことから変態仮面に変身する。

愛子を救出した変態仮面こと狂介だったが紅麗高校を狙う謎の組織との

闘いに巻き込まれていく。

 

 

 

重要な点

原作の世界観に忠実にそいながら、変態バトルを挿入した

基本的にはラブコメになっている。

小栗旬は主役を当時まだ無名の鈴木亮平に頼んだが

『俺の俳優のキャリア終わらす気ですか?』と言いながら

二本(続編)も出演している鈴木亮平。流石だ。

監督は福田雄一。TVや映画、舞台と幅広く活躍する才人だ。

 

良かった点

クライマックスの鈴木亮平と安田顕の変態論をぶつけ合いながらの

バトルは見応えがあった。(良い子はマネしてはいけません)

いろいろあって表舞台から去ってしまったがヒロインの清水富美加は

可憐で可愛かった。妄想シーンの水着もグッド!

 

悪かった点

敵の組織から送られてくる謎の刺客たちが個性的で興味深い。

ムロツヨシ、佐藤二郎ら個性的な面々がいい仕事している。

 

 

雷蔵の死後、大映は東映から松方弘樹をレンタル移籍し、

『眠狂四郎円月殺法』(1969年)『眠狂四郎卍斬り』(1969年)

製作したがヒットしなかった。

※『卍斬り』には田村正和が敵役で出演している。

映画は以後製作されなかったが、

TVシリーズは

『眠狂四郎』(平幹二朗主演1967年フジテレビ)※五社英雄演出

『眠狂四郎』(田村正和主演1972年関西テレビ)

※その後田村正和主演で数本TVスペシャルが撮られている。

『眠狂四郎円月殺法』(片岡孝夫主演1982年テレビ東京)

『眠狂四郎無頼控』(片岡孝夫主演1983年テレビ東京)

と数年おきに製作されている。原作が大量かつ短編が多いこともあり

TVドラマ化に適していたのだろう。

学生時代にみた片岡孝夫(現片岡仁左衛門)のシリーズは

エロティシズムとダンディな狂四郎の世界観を確立させていて

毎回どんでん返しがあるなど脚本も秀逸で楽しみながら観ていた。

片岡版と田村版はDVDが発売されているので現在観ることができるが

五社英雄が演出した1967年の平幹二朗版を観てみたい。

 

 

あらすじ

大奥では将軍のお世継ぎとご寵愛を巡り、

環(行友圭子)とお千加(松尾嘉代)一派が激しく権力争いをしていた。

環を擁する大奥総取締の錦小路(久保菜穂子)は総目付の坂倉将監(小池朝雄)

と手を組み、反対派を眠狂四郎の名前を名乗って暗殺していく。

そんなおり眠狂四郎(市川雷蔵)は兄と自分を間違えた佐用(藤村志保)という

娘と会ったことから事件に巻き込まれていく…

 

 

 

 

 

重要な点

今作撮影中に主演の市川雷蔵は直腸がんが悪化しており立ち回りは全て

代役がやったとのこと。しかしながら全く違和感がないのは素晴らしい。

雷蔵の演じる眠狂四郎の死生観は病弱で身体が弱く死と隣り合わせだった雷蔵

だから構築できたのかなどと考えされてしまう。監督は4作目『女妖剣』と

9作目『魔性の肌』と撮った池広一夫。可憐でひたむきな女性と

権力欲に憑りつかれた女性の対比することで、女性の慈母性と毒気を描き出す

など女性を撮るのが上手い監督だ。

 

良かった点

可憐で一途な藤村志保、小粋な朝丘雪路など狂四郎を取り巻く

女たちは美しい。権力争いの犠牲になる松尾嘉代も

哀しい運命をたどる。その反面、久保菜穂子演じる

大奥総取締の錦小路は男どもを手玉に取る女傑とも言うべき悪女。

 

悪かった点

総目付でありながら政敵を暗殺していくというとんでもない

悪党を名優小池朝雄が相変わらずの存在感で好演。

偽の狂四郎を演じる役者も素晴らしかった。

 

 

 

 

 

 

市川雷蔵の眠狂四郎シリーズを全作鑑賞したが

4作目までは監督の演出の違いのためか、

狂四郎のキャラクターが確立されていて模索期ともいえる。

5作目からはストーリー展開も円熟して、個性的な悪役たちが

主人公のニヒルなセリフと円月殺法に敗れさる独特の

美学が完成していく。

市川雷蔵は37才で早世したためシリーズは12本で終わるが

存命ならばまだまだ観たい作品であった。

※雷蔵の死の2年後、大映は倒産している(1971年)

 

 

 

 

あらすじ

甲府にある母親の墓を10数年ぶりに訪ねる狂四郎(市川雷蔵)

久しぶりの訪問に喜ぶ墓守の七蔵。七蔵は狂四郎と同じく転びバテレンの

遺児である兵吾(寺田農)を狂四郎に引き合わせる。兵吾は反発するが

近隣の城主で将軍の妾腹のである土門家武(川津雄介)とその双子の妹

紫(緑魔子)が支配する屋敷へ奉公するように命じられていたのだった。

二人のあまりの暴虐ぶりに江戸から来たお目付け役の都田一閑(渡辺文雄)は

狂四郎に二人を斬って欲しいと依頼するも狂四郎は断るが…

 

 

 

 

重要な点

監督は3作目『円月斬り』と6作目『魔性剣』も担当した安田公義。

前作と前々作では権力争いに巻き込まれていく狂四郎を上手く演出していたが、

今作ではイタリアのボルジア家をモデルにした狂気の権力者と無頼の徒

である狂四郎との対決を上手く描き出している。

 

良かった点

なんといっても(川津祐介)家武と紫(緑魔子)の演技に目を見張ることしばし、

中間部正直間延びしてしまうところもあるが、最後の対決までしっかり楽しめた。

 

悪かった点

今作はほとんど善人がでてこない。というわけで円月殺法の刀の餌食

になってしまう運命のキャラクターが多すぎた。

今回は七蔵がうっかり狂四郎び声掛けをしたがゆえに起こる悲劇とも解釈できる。

 

 

 

 

 

市川雷蔵主演の眠狂四郎シリーズ10作目。

監督は1作目を撮った田中徳三。

全12作の内訳は

田中徳三が①『殺法帖』,⑩『女地獄』 の2本

三隈研次が②『勝負』,⑤『炎情剣』,⑧『無頼剣』の3本

安田公義が③『偃月斬り』,⑥『魔性剣』,⑪『人肌蜘蛛』の3本

池広一夫が④『女妖剣』,⑨『魔性の肌』,⑫『悪女狩り』の3本

井上昭が⑦『多情剣』の1本

こうして分類して観るとそれぞれの監督の個性が作品に大きく反映されているのが

実感できる。特筆すべきは三隈研次で、最高作と言われる『勝負』や『無頼剣』

において原作のイメージと違う狂四郎像を構築しているのが興味深い。

田中徳三は1作目『殺法帖』が失敗作と言われているが(僕はそう思わないが)

今作では痛快な娯楽作を創り上げて名誉挽回している。

 

 

 

 

あらすじ

街道を走る馬に乗る使者を一瞬にして斬り捨てる成瀬辰馬(田村高廣)。

そこの場に居合わせた眠狂四郎(市川雷蔵)は佐伯藩の権力争いに巻き込まれていく。

佐伯藩では国家老堀采女正(小沢栄太郎)と城代家老稲田外記(安部徹)

は君主が中風に倒れたことが発端で対立を激化させていた。

藩の実情に心痛める小夜姫(高田美和)が江戸を抜け出して佐伯に向かった

ことから対立は益々激しくなっていく…

 

 

 

 

 

 

 

重要な点

今作は時代劇の定番である小藩の権力争いがテーマ。

眠狂四郎版『用心棒』というべきか(水戸黄門の定番でもある)。

もちろん眠狂四郎は桑畑三十郎(用心棒の三船敏郎)のように

対立を煽ったり、組織を潰したりしたいわけではなく

単に巻き込まれていくだけなのが逆に痛快で面白い。

 

良かった点

辰馬(田村高廣)と陣内(伊藤雄之助)と狂四郎。

三人の剣客の生き様、死に様が素晴らしい。

とくに伊藤雄之助の演じる陣内は武光で円月殺法に挑む剛毅さ。

シリーズ最高の剣客の一人であることは間違いない。

 

悪かった点

権力争いをする二人の家老を演じる

小沢栄太郎と安部徹の極悪ぶりが堪らない。

狂四郎のニヒルと対比する演出が素晴らしい。

市川雷蔵主演の眠狂四郎シリーズ9作目。

市川雷蔵の後期の当たり役であった眠狂四郎シリーズ。

多少の不満が残る作品もあるが全12作クオリティが高く

映像も素晴らしい。主演の雷蔵を始め、大映のキャストとスタッフの

情熱の結集であろう。大映の時代劇は東映や東宝とも

違う独特の美学があるのがまた魅力的だ。

 

 

 

 

 

あらすじ

闕所物奉行朝比名修理亮(金子信雄)から

突然黄金のマリア像を守って京都に向かう依頼を

受けた眠狂四郎(市川雷蔵)は一度は断るものの

修理亮の娘ちさ(鰐淵晴子)の貞操と引き換えに

護衛の依頼を引き受ける。マリア像を狙うのは

島原の乱の残党で邪教ディアボロを狂信する黒指党であった。

 

重要な点

監督は池広一夫。4作目『女妖剣』と今作そして最終作『悪女狩り』

を監督している。今作のみ『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』と

タイトルに無頼控が入っている。江戸から京都まで旅をしながら、

敵の罠をくぐりぬけていくスタイルは片岡孝夫のTVシリーズ1作目の

『眠狂四郎円月殺法』に受け継がれている。

 

良かった点

ヒロインの鰐淵晴子の可憐で儚い美しさ。今までで一番美しいヒロインと言える。

哀しい宿命を背負った女の生き様は心に残った。

またもう一人のヒロイン久保菜穂子も色気たっぷりで素晴らしかった。

 

悪かった点

前作で不満に感じた点が今作ではすべて解消されており、

ラスボス感たっぷりの成田三樹夫。謎の多い依頼主の

金子信雄の演技は相変わらず最高である。

 

 

大映のスター俳優市川雷蔵の当たり役『眠狂四郎』シリーズ。

全部で12作製作されているがこれは8本目。当時はメインの俳優が

他社の映画に出演するのが難しい時代だったので、今作のヒロインは

3回目の出演の藤村志保。眠狂四郎は映画では鶴田浩二、市川雷蔵、

松方弘樹が演じている。TVドラマでは江見渉、平幹二朗、田村正和、

片岡孝夫が演じている。最近はあまり製作されていない時代劇だが

新しいスタッフで観てみたい気もする。

 

 

 

 

 

あらすじ

油問屋の弥彦屋に無理難題を押し付ける一団。その頭目愛染(天知茂)

弥彦屋の手代からのし上がった一文字屋を付け狙う謎の女勝美(藤村志保)

愛染一派の正体が大塩平八郎の残党と知った眠狂四郎(市川雷蔵)は

水野越前守の側用人武部仙十郎(永田靖)から愛染一味を葬るように

依頼されるが断る。愛染も眠狂四郎に惹かれながらも対決を決意するが…

 

 

 

 

重要な点

監督は時代劇の匠である三隈研次。『勝負』『炎情剣』に続いて三作目である。

この作品は原作者の柴田錬三郎は気に入らなかったらしいが、

その理由も良くわかる。『無辜の大衆が苦しむのは見過ごせない』

と言うセリフは無頼の徒である狂四郎らしくないのである。

藤村志保の立ち位置もヒロインなのに微妙。

映像美の完成度は非常に高いだけに脚本が残念だった。

 

良かった点

三隈監督の映像美(様式美)で構築された世界観は素晴らしい。

中でも悪役の天知茂が素晴らしい演技で愛染も好演している。

藤村志保の勝美も純粋な女性で好感が持てた。

 

悪かった点

脚本が淡白。幕府側の隠密などを出して筋を複雑にして欲しかった。

ラスボスも天知茂は良かったが別に幕閣の内通者などの、汚い権力者をだして

天知茂演じる愛染と対比させれば良かった。

遠藤多津雄の用心棒は素晴らしく下品で最高だった。

 

蛇足ながらエロいシーンも皆無なのも残念。

 

 

不世出のハードロック/ヘヴィメタルシンガーである

ロニー・ジェームス・ディオ(1942年-2010年:享年67才)

の生涯を描いたドキュメンタリー映画。彼は『エルフ』を結成したのちに

『リッチーブラックモアズ・レインボー』の創設メンバーとなり、

レインボー脱退後に、オジーオズボーンの後任として『ブラック・サバス』に加入し、

『ヘヴン&ヘル』や『悪魔の掟』等の名盤を残したことでも知られる。

80年代以降は自分のバンド『DIO』や『ブラック・サバス』のメンバー

との活動が中心に活動をしている。日本にもサバスやディオ時代に

数回来日しているのだが、この作品が日本未公開というのは残念だ。

 

 

 

あらすじ

ロニーはイタリア系アメリカ人で、父親の影響でトランペットを吹き始め、

やがて教会の聖歌隊で歌うようになった。やがて音楽で身を立てるようになった

ロニーはドウワップ歌手として活動するが、ロックを志したロニーは

仲間と『エルフ』と言うバンドを結成するが、ツアー中の事故でギタリストを失う。

そんなエルフのメンバーは『ディープ・パープル』から脱退を考えていた

リッチー・ブラックモアのソロアルバム『銀嶺の覇者』のレコーディングに誘われる。

ロニーのボーカリストとしての才能を見抜いたリッチーはロニーを引き抜き、

『レインボー』としての活動を始めるが…

 

 

 

 

 

重要な点

監督はドン・アーゴットとデミアン・フェントン。製作総指揮はロニーの妻で

マネージャーであったウェンディー・ディオ。

未公開の映像や個人的な写真を盛り込みながら、ウェンディ、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、グレン・ヒューズ、ヴィニー・アピス、リタ・フォード、ロブ・ハルフォード、セバスチャン・バッハ、エディ・トランク、ジャック・ブラックなど、ロニーの仲間や家族、友人たちとのインタビューで年代順に構成されている。

 

良かった点

『何故ロニーはレインボー時代に【シンスユービーンゴーン】といったラブソングや

ポップソングを歌わなかったのか?

そしてレインボーを何故脱退したのか?』という長年の疑問の答えがこの作品にはあった。

結論から言えば、彼はドウワップ歌手としてポップソングには飽き飽きしていたという。

そしてレインボー時代の印税は受け取っていなかったという。(最近受け取ったらしい)

ショービジネスには汚い面も存在するがそこが垣間見られたのが良かった。またロニーは声量が

半端無いため、録音時に専用のマイクを使用しないと録音できないというエピソードには

度肝を抜かれた。たしかに福岡サンパレスで1列目正面の席でDIOの初来日公演を観たが、生声の凄まじさに痺れるくらい感動したことを思い出した。

 

悪かった点

ウエンディ・デイオの製作総指揮ということで家族円満に描かれているがウエンディとロニー

の夫婦関係は実際には破綻、別居しており(ただしロニーは離婚を認めなかった)という点

は描かれていない。また『DIO』から初代ギタリストであるヴィヴィアン・キャンベルが

脱退した真相にも触れられていなかった。ヴィヴィアンが脱退(解雇)しなければDIOは

もっと成功していたことに間違いないと自分は今でも信じている。なんにしても

ロニーと彼が作り出したハードロックにおける様式美と数々の名盤の輝きは今でも不滅だ。