高倉健さんと言えば寡黙でストイックな主人公が
敵の嫌がらせに耐えに耐えて最後に怒りを爆発させるイメージがある。
それは大ヒットシリーズ
『日本侠客伝』シリーズ(1964年~1974年)全11作
『昭和残侠伝』シリーズ(1965年~1972年)全9作
のイメージが大きい。
しかしながら『網走番外地』シリーズ(1965年~1967年)全10作
における主人公橘真一は弱きを助け、強きをくじく、好漢として描かれ
健さんも良くしゃべり、笑う。それを演出したのが鬼才石井輝男。
今作は石井輝男が高倉健と組んで製作された作品。

あらすじ
1970年代。やくざの世界から足を洗い,寿司屋になった島谷(高倉健)
は戦死した父親の事で週刊誌の記者克子(梶芽衣子)の取材を受ける。
島谷の真摯な人柄に惹かれた克子は島谷と将来を誓い合う。そのころ
関東のやくざ組織をまとめようとする関西の大組織の動きがあり、
島谷のいた松田組は孤立していた。
重要な点
70年代初頭は従来の仁侠映画が飽きられつつあった変革期。
高倉健は『山口組三代目』でヒットを飛ばし、
伝説の『仁義なき戦い』は同じ1973年公開で、それ以降は
実録路線に大きく東映が舵を切る時代。
石井輝男が新仁侠路線として監督した今作はヤクザ映画としては完成度が高い
のだが、網走番外地の重要な要素である笑いの部分が弱い。
寿司屋で田中邦衛がぼやいている程度では面白くない。由利徹使って欲しかった。
その点とラストが哀しすぎる。もう少し救いがある展開が良いと感じた。
その違和感には理由があり、石井監督は健さんに呼ばれて急遽監督を引き受け、
橋本忍の脚本をあまり理解せずに撮影に臨んたためであった。
石井自身が書いた脚本ならば違和感を感じさせなかったかもしれない。
だからと言って内容は悪くない。しかしながら今作はヒットせず
東映は『仁義なき戦い』の大ヒットで深作監督が台頭してくる。
これ以降、石井は千葉真一とくんでカラテ映画に取り組む。
良かった点
主演の健さんは存在そのものがカリスマ。
寡黙で、実直、ストイックな好漢として存在している
競演の安藤昇も大組織の間で筋を通すやくざを演じている。
ヒロインの梶芽衣子が美しい。妖艶さ、純朴さ、ひたむきさ
多彩な女性の魅力がスクリーンからにじみ出ている。
悪かった点
普段は悪役の郷 鍈治、成田三樹夫が硬派なやくざを好演。
安藤昇は圧巻の存在感。
政界のフィクサー役の辰巳柳太郎は流石の貫禄であった。
















