不世出のハードロック/ヘヴィメタルシンガーである
ロニー・ジェームス・ディオ(1942年-2010年:享年67才)
の生涯を描いたドキュメンタリー映画。彼は『エルフ』を結成したのちに
『リッチーブラックモアズ・レインボー』の創設メンバーとなり、
レインボー脱退後に、オジーオズボーンの後任として『ブラック・サバス』に加入し、
『ヘヴン&ヘル』や『悪魔の掟』等の名盤を残したことでも知られる。
80年代以降は自分のバンド『DIO』や『ブラック・サバス』のメンバー
との活動が中心に活動をしている。日本にもサバスやディオ時代に
数回来日しているのだが、この作品が日本未公開というのは残念だ。

あらすじ
ロニーはイタリア系アメリカ人で、父親の影響でトランペットを吹き始め、
やがて教会の聖歌隊で歌うようになった。やがて音楽で身を立てるようになった
ロニーはドウワップ歌手として活動するが、ロックを志したロニーは
仲間と『エルフ』と言うバンドを結成するが、ツアー中の事故でギタリストを失う。
そんなエルフのメンバーは『ディープ・パープル』から脱退を考えていた
リッチー・ブラックモアのソロアルバム『銀嶺の覇者』のレコーディングに誘われる。
ロニーのボーカリストとしての才能を見抜いたリッチーはロニーを引き抜き、
『レインボー』としての活動を始めるが…
重要な点
監督はドン・アーゴットとデミアン・フェントン。製作総指揮はロニーの妻で
マネージャーであったウェンディー・ディオ。
未公開の映像や個人的な写真を盛り込みながら、ウェンディ、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、グレン・ヒューズ、ヴィニー・アピス、リタ・フォード、ロブ・ハルフォード、セバスチャン・バッハ、エディ・トランク、ジャック・ブラックなど、ロニーの仲間や家族、友人たちとのインタビューで年代順に構成されている。
良かった点
『何故ロニーはレインボー時代に【シンスユービーンゴーン】といったラブソングや
ポップソングを歌わなかったのか?
そしてレインボーを何故脱退したのか?』という長年の疑問の答えがこの作品にはあった。
結論から言えば、彼はドウワップ歌手としてポップソングには飽き飽きしていたという。
そしてレインボー時代の印税は受け取っていなかったという。(最近受け取ったらしい)
ショービジネスには汚い面も存在するがそこが垣間見られたのが良かった。またロニーは声量が
半端無いため、録音時に専用のマイクを使用しないと録音できないというエピソードには
度肝を抜かれた。たしかに福岡サンパレスで1列目正面の席でDIOの初来日公演を観たが、生声の凄まじさに痺れるくらい感動したことを思い出した。
悪かった点
ウエンディ・デイオの製作総指揮ということで家族円満に描かれているがウエンディとロニー
の夫婦関係は実際には破綻、別居しており(ただしロニーは離婚を認めなかった)という点
は描かれていない。また『DIO』から初代ギタリストであるヴィヴィアン・キャンベルが
脱退した真相にも触れられていなかった。ヴィヴィアンが脱退(解雇)しなければDIOは
もっと成功していたことに間違いないと自分は今でも信じている。なんにしても
ロニーと彼が作り出したハードロックにおける様式美と数々の名盤の輝きは今でも不滅だ。


