特定郵便局長会の徹底精査を | 日本國人

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令和元年・紀元2679年10月1日開始。

 日本國人は、精神科醫師であるが、かつて、いわゆる旧特定郵便局長の患者を診ていたことがある。重度の精神病というわけではないが、時々、ある時、ある事が起こると、決まって具合が惡くなるという、診斷名をつけるならば、広義には神經症、狭義には心因反應もしくは適應障害と言えるものであった。

 その、ある時、ある事、というのが問題である。その患者は、国会議員の選挙が近付くと、不安や焦りが出現し、やる気が低下して憂うつになり、仕事にも行けなくなってしまうのである。

 何故にいつも選挙前に?、という理由は、最初敎えてくれなかったものだが、通院が重なり、診療關係がついてくると、話してくれるようになった。選挙運動に加担させられるのが、苦痛だと言うのである。

 なんでも、参議院やらの選挙が近付き、候補者が決まると、郵便局長会が支持する候補者の応援をさせられるそうなのだ。自分の局が管轄している地域の住民に、候補者への支持・投票をお願いする電話をかけたり、葉書も出すと言っていたかな?それは記憶に定かではないが、とにかく、そういった應援活動を強制されるのだそうな。そして、そういった活動は、勤務時間外や休日にもやらざるをえないのだそうだ。しかも、ノルマがあって、達成できないと部会長から叱責されるのだと。

 少し補足すると。郵便局には、大規模郵便局と旧特定郵便局がある。大規模郵便局は、街の中心部等にある、絶えず配達車兩が出入りしているような、いわゆる大きな郵便局である。一方、離島も含め、全國津々浦々、山村集落や住宅街にある、局員數名程度の小さな郵便局が、旧特定郵便局だ。旧特定郵便局長は、世襲も多い。もっとも、民營化後は、公募局長も増えているようだが。

 そして、旧特定郵便局の局長というのは、みんな横並び、というわけではない。いくつかの旧特定郵便局をたばねる部会という組織があり、部会長というのが居るのだ。部会長もまた、旧特定郵便局長でもある。その部会長なる者が、絶大な権力をふるっているところがあるらしいのだ。そして、ヒラの局長を虐待したりする者も居るという。郵便局長となれば、お山の大将、無敵の存在なのかと思いきや、そうではないのである。患者であった郵便局長も、ヒラの旧特定郵便局長であった。

 全く、余計なやらされ選挙運動ごときで、仕事に行けなくなり、それで病院に通うなど、醫療費のムダもいいところである。局長を務める局は、局員數名の小規模局なれば、局長に休まれる部下の局員も、大變であろう。

 日本國人は、治療として、選挙応援などやめてしまえ、と言ったことだ。それで少しは楽になり、仕事にも行けるようになったのだが、部会長に嫌味を言われるたびに調子を崩すということは、結局日本國人が転勤で主治医をやめるまで續いた。

 旧特定郵便局部会なるもの、徹底的に調査し、殲滅したほうがいい。

 

紀元二六八二年 令和四年 九月二七日