高市早苗氏自民党総裁選出馬の功績 | 日本國人

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令和元年・紀元2679年10月1日開始。

 自民党総裁選挙をめぐる動きが、面白い。面白いのは、立候補者の言動である。現在、高市早苗氏、岸田文雄氏、河野太郎氏が、立候補を表明して活動中だ。その中で、高市氏は、さすがである。従來からの、日本保守的言動を、曲げない。

 滑稽なのは、残りの二人である。まず、岸田氏。あれほど、モリカケ問題の再調査をと騒いでいたのに、総裁選に立候補するや、ひっこめてしまった。安倍元首相一党を、敵にまわしたくないという思いが見え見えだ。また、河野氏。女系天皇容認と言っていたのに、立候補を表
明するや、ひっこめてしまった。そして、原發全廢と言っていたのも、事實上、撤囘してしまっている。やはり、票欲しさに自説を曲げてしまったのは、見え見えだ。

 この三氏の中で、誰が、自民党総裁として相應しいかと言えば、それは言うまでもなく、高市氏である。高市氏が自民党総裁となれば、その直後に行われるはずの衆議院議員選挙も、自民党勝利となって高市首相となる可能性も高いだろう。そうなれば、基本的には安倍元首相の路線を繼承、となるやに思われる。

 安倍首相は、その本來政策であったはずの戰後レジーム脱却こそ成し遂げられなかったものの、また、アメリカ頼みは相變わらずながら、防衛力増強など、戰後凋落の一途をたどっていた日本の正常化に向け、若干の軌道修正はなすことができていた。

 高市氏は、自らの繼濟政策をアベノミクスに倣ってサナエノミクスと名付けているように、また、出馬理由を、安倍元首相の不出馬ゆえとしているように、自他ともに認める安倍元首相の後繼者である。首相となれば、少なくとも當初は、安倍元首相が再選を果たしたつもりでやることだろう。もし、大勝して自民黨單獨政權でもできようものなら、安倍元首相が果たせなかった、戰後レジーム脱却に向けても大きく前暹できるやもしれぬ。

 しかし、なかなかそう簡單に、高市総裁誕生とはいかぬかもしれない。岸田氏や河野氏が、變節漢と言われる恐れがあっても従來からの自論持論を次々と翻しているのは、どうしても票が欲しいからであり、あるいは、支持をめぐる取り引きもあるやもしれぬ。すなわち、支持するからこの政策は引っ込める、考え直せ、ということだ。

 要するに、兩氏とも、打倒高市氏と、なりふり構わぬ本氣である。また、無派閥の高市氏に比べ、兩氏とも、派閥票は集めやすいだろう。結局は岸田氏と河野氏の決戦となるのでは、というのが、多くの意見であるが、そのとおりになるかもしれぬ。

 しかし、たとえ今囘の総裁選で敗北しようとも、高市氏が出馬した意義は、ある。それは、高市氏が立候補したからこそ、他二候補者の政策言説を、いささかなりとも正常化させたことだ。ひいては、自民党全体をも、若干なりとも正常化に向けることにもつながることだろう。どのみち、政党政治では、かつて英雄ヒトラーが行ったような強引強力なる事をせぬ限りは、少しずつしか動けぬのだ。

 

令和三年 紀元二六八一年 九月一一日