大麻に關する法規制は、度外れに厳しすぎでは | 日本國人

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令和元年・紀元2679年10月1日開始。

 時々、大麻を所持していたということで、大麻取締法容疑にて逮捕される人が居る。その報道のされ方は、まるで、覺醒劑等と同様な、極惡人の扱いだ。これには、少なからぬ違和感を覺えぬでもない。

 覺醒劑の有害性、これは重大だ。覺醒劑は、激しい幻覺妄想、精神運動興奮をひきおこし、自傷他害を及ぼしやすい上、常習性もある。平時に一般人がむやみやたらと常用してよいモノではない。以前は「ヒロポン」として市販されていたが、現在は厳重に管理され、違反者には刑罰が科されるのも、當然のことである。

 一方、大麻はどうか。精神科醫として、大麻が關連している患者を診たことは、何度もあるのだが、その中で、大麻だけを摂取していた人は居ない。皆、覺醒劑やシンナー等、他の藥物もやっていた。過去に大麻だけを摂取していた時期もあるという患者は居たのだが、大麻だけ摂取していたぶんには、あまり問題となるほど有害な精神症状は起こらなかったようなのだ。

 もっとも、日本國人は、一般精神科醫であり、もっとたくさんの藥物關連患者を診ている藥物専門精神科醫に言わせれば、また違った意見なのかもしれぬ。しかし、一般的に、少なくとも大麻單獨のみでは、覺醒劑程の精神病惹起性はないと言えるのではないか。

 また、覺醒劑が化學的合成物質であるのに對し、大麻は、大麻草なる一年草植物由來の、自然物質である。しかも、我が國にては、一万年以上前の縄文時代、つまり、日本國發祥以前から、栽培・利用されていたものなのだ。

 大麻は、とても有用性が高い。茎の繊維は衣類の材料になり、實は食用になる。現在でも、麻の服は、夏用衣類として重宝されるし、七味唐辛子には麻の實が入っているように。注連縄も、本來は、大麻にて作っていたのである。多少の向精神作用があるからと言って、今のようにムキになって規制・禁止するのは、不可解でならない。

 今のように、大麻取締法にて、大麻が厳しく法規制されるようになったのは、戰後、GHQによるものであるが、連合国どもの産業を守るために日本の麻産業を衰退させんとして大麻取締法をつくったという意見にも、うなずけるというものだ。本當にそういう理由でつくられた法規制であれば、直ちに改めねばならぬ。

 もっとも、大麻の向精神作用については、戰前から、規制しようという動きはあった。いくぶんかでも向精神作用がある以上、ある程度の規制はやむを得まい。しかし、規制するにしても、酒やタバコ程度の規制で良いのではないか。抗不安藥や睡眠藥という名目で亂用され得るベンゾジアゼピン受容體作動藥のほうが、よほど有害であると思うのだが。

 

令和三年 紀元二六八一年 九月八日