ウサ族 (=菟狭族)の伝承
宇佐神宮宮司・宇佐公康(宇佐国造57世)
著「宇佐家伝承 古伝が語る古代史」 から
菟狭族は
9000年前から山城国の稲荷山を根拠地として
原始生活を営んでいた
該当する遺跡を探してみると
福井県の鳥浜貝塚の発掘調査によると
14500年くらい前から居住していたことが明らかとなっています
バイカル湖人がやって来たのは13000年くらい前とされています
石器時代の日本列島の居住人口は推定3000人くらいで
日本列島に渡来したバイカル湖人は推定7000人くらいとされています
8500年前にサルタ族が侵入してきたので
菟狭族は分裂して 集団で各地に移住した
移住先は 吉備国・壱岐諸島・北陸・関東・国東半島など
吉備の高島(岡山市)は古代の政治文化の中心になった
ここが疑問なんですよ
出雲族が侵入してきたのでウサ族は各地に移住したって・・・
出雲族は戦闘的な民族ではなかったのに何故方々に分散する必要があったの?
出雲の伝承では
サルタヒコ族(=出雲族)は
斎木氏は3000年以上前に渡来したと記しています
出雲王家の末裔の富當雄氏は
4500年くらい前に日本海側を南下して出雲に来たと伝えています
岡山県の彦碕貝塚からは
縄文時代前期(約6000年前)の地層から
中国南部原産の可能性の稲のプラントオパールが見つかっています
これは越人が伝えたものかもしれませんが・・・
越人は長江の南・中国南部から北ベトナム付近に居住していました
長江の北には漢人(漢民族)
島根県の板屋遺跡では7000年前の地層から
稲のプラントオパールが検出されています
因幡は
隣の伯耆とともに 古くから出雲族が統治していて
その統治下に 菟狭族や和邇族が生活していた
和邇族が祖神としてワニ神を祀っていたように
菟狭族はウサ神を氏神として祀っていた
和邇族は 出雲の伝承では出雲族なので
ワニ神ではなくて ワニとコブラを合体させた龍蛇を祀っていました
ウサ族はウサ神 すなわちツキヨミノミコト(月読尊)を
アマ(天)の神とするアマ(海)族であるという伝承によっても明らかである
ウサ神が 何故 月神 ?
白ウサギがワニに皮をはがれて赤裸になったという伝説は
菟狭族が和邇族との経済上の取引に失敗して
資産を押さえられ赤裸になってしまったことを物語るものである
この伝説の ウサギがいたのは島根の隠岐諸島で
石器時代から自給自足の農漁業を営んでいた
隠岐諸島の領有権と全財産を 和邇族に移譲した菟狭族は島を去った
オオクニヌシノミコトが無償で与えた因幡国八上の地に
移住して 開拓して定住し のちに ここを根拠地として
山陽・北九州・東九州にまで発展し 古の宇佐国をつくって繁栄するに至った
大国主はシャーマンである八上姫と夫婦の契りを結び
八上地方の統治権を得た
九州の宇佐に移動するまで 縄文時代から長い年月を要した
隠岐諸島に居住していたウサ族は
和爾族と争い因幡に移住したが
後に 宇佐神宮付近に移住したということらしいのですが・・・
宇佐神宮は
一之御殿創建から五年送れて731年に
神託によって二之御殿を造営し
宇佐嶋の旧地と伝えられる御許山の頂上に太古から
宇佐氏族の長によって 祀られていた比売大神を勧請した
この祭神は 間違いなく宇佐家の母系祖神であって・・・
宇佐族と月神の関係を見つけた !
宇佐家の母系というのは月神を祖とする壱岐氏のことだ!
隠岐諸島に居住していたウサ族は
月神を祀る壱岐島の月氏(=壱岐氏)の末裔の姫と婚姻関係を結んでいたのですね
それでウサ神は月神となって 月とウサギだったのです
月神は
記・紀で月読命として登場しているので この記述があるのかもしれませんね
同書によると
宇佐神宮の一之御殿と三之御殿は 菩提を弔うものらしい
先祖の墓(=祀る)や 霊を鎮めたとか封じたという場所が
後に 神社になったというのはよくあることですし・・・
「宇佐家伝承 続 古伝が語る古代史」 から
宇佐神宮の奥宮の 御許岳山頂の禁足地について
御許山頂に三女神が降臨する以前から祀られていた宇佐明神とは
天御中主神に直属の 憧賢厳之御魂(つきさかきいつのみたま)という原始太陽神で
天疎向津比売命(あまさかるむかつひめのみこと)とも
天照大日霊貴命(あまてらすおおひるめむちのみこと)とも呼ばれた
その聖地は
天地根元の神を祀った日少宮(ひのわかみや)であり
神奈備山であり 古代菟狭族の墳墓である
宇佐神宮の元宮は 御許山(標高647m)の大元神社
拝殿の奥に本殿は無く 奥宮の鳥居があり禁足地となっています
明神という呼称は 仏教伝来以降ですし
神名は 仏教伝来以降に付けられた可能性が高いですね
天御中主という呼称は 記紀の編纂からですし・・・
「続 古伝が語る古代史」は
個人的にはあまり参考になりませんでした
御許山の三女神というのは
宗像三女神ではなくて
月神三神(月読命・月夜見命・月弓命)のことかもしれませんね
過去記事の「月読命」に書いていますが
玄海島公式サイトには月読命は女性の神さまと記されていました