貧乏だと損をするのがATM。今日みたいな祝日でも現金下ろさないといけないから


余計な手数料110円を払う羽目になる。


明日どころか、今日を生きる為の現金が無いのだ。


雪になりそうな冷たい雨の中、銀行ATMへ行く。


最近の人はキャッシュレスが進んでいるらしくカードで買い物しているけど、俺にはムリ。


だって口座にカネ無いもん。カードなんて預金残高に余裕のある金持ちの為のシステムだと思う。


そういえば以前、6畳くらいの狭い高級お菓子店に間違えて入っちゃった時、店主に話しかけられて何か買わないと逃げられない状態になって、諦めて買おうとしたら


「現金はお使い出来ないのですが何かカードをお持ちではないでしょうか?」


と言われて



「すみません俺現金しか持ってないんで」


と言って何も買わず退店できたことがある。もちろん心の中でガッツポーズ!最終的にモノをいうのは現金!カードなんてただの数字のやり取りだもん。



そんなことを思い出しながら現金を下ろして銀行を出ようとしたら


「スミマセーン」と声をかけられた。


見ると肌の浅黒い感じの若い女性だった。フィリピン…ではないな。彫り深いからインドかパキスタンあたりの女性かな。


「使い方がワカラナイです。教えてくますか」


どうやら送金したいらしい。


でもこのATMで送金するにはかなりの手順を踏む必要がある。


「はい」とか「いいえ」とか


「確認」を押して進んで行く。これは外国人には無理だ。


英語や中国語の表示はあるけど、それ以外の言語圏の人は相当難しい作業になると思う。何しろ文が長いし漢字が多い。


日本語話せる外国人は多いけど、漢字となるとやっぱり難しいよね。


彼女が暗証番号を押す時は俺は後ろを向いて見ないようにする。大丈夫、俺は安全な男だよ。


どうにかこうにかやって残高38万から無事に20万を送金できた。俺より持ってるな…。



「アリガトゴザイマシタ」



と、日本人でもやらないくらい深々と


腰の位置くらいまで頭を下げてお礼を言われた。


「大丈夫ですよ時間あるから」と言って俺は去った。


若い外国人女性が他に誰もいないATMで見知らぬおっさんに声をかけるのは相当な勇気が要ったと思う。


でもほとんどの日本人は安全だよ。武士道がまだ残ってるから。


「武士は食わねど高楊枝」なんて言葉があるように


他人のモノを盗むよりは飢え死にした方がマシ、な精神はあると思う。意味が違うか。