今日は、暑すぎて家にじっとしております。
ひとり言語りたくなる秋の空
少年の日の山や川赤とんぼ
幣抜けて善男善女秋燕
ままごとの夫婦の会話赤まんま
類似絵に六個の違ひ蚯蚓鳴く
身に付きし残さぬ証拠色変へぬ松
幻聴は森の中でも法師蝉
秋日傘相合傘のぬくみなほ
杉木立秋雨すぐに届かざる
秋の滝本流白を深めつつ
秋の雲空の高きにある眠り
草原を手探りでくる秋の風
馬肥ゆるむかしは橋のなき暮し
デッキある橋の二人の良夜かな
臍といふ愛らしきもの秋暑し
せめぎ合ひ譲り合ひをる秋の草
ストレスが溜まり爆発二百十日
秋澄むや言葉はいらぬ山毛欅の森
気まぐれなあなたのこころ秋の風
霧深くバーの燈火並ぶ街
自らを枯れ木と知るにゐる時間
開発の前のふるさと鰯雲
蓑虫や小屋一軒の河川敷
下町の路地整然と秋風鈴
小鳥来る公民館に図書館も
秋耕の吾より濃ゆき人の影
未踏の山未踏の道やけふの月
学校の闇を濃くして虫すだく
沈黙と寡黙の違ひ轡虫