新涼の肩を寄せ合ふ湖畔かな
今日は、小雨で、歩いていて気持ちが良いぐらいでした。
蝉声に明るさ暗さ森の道
子らの荷を背負ふ母親秋の園
草原に白きふらここ少女漕ぐ
秋の園白き尻尾を振る小犬
秋雨をシャワーのごとく浴びて園
訓練のやうにも犬と秋の園
しばらくは大樹が傘や秋の雨
蝉声のステレオとなる大通り
橡の実の豊かに令和なりにけり
ノースリーブ秋の藪蚊の来たりけり
曇天の日のくつきりと水引草
秋雨に輝きてをり水玉草
大空に金脈のあるや金水引
磁石てふプラスマイナス金水引
ビーナスのごとくに立てり女郎花
女郎花風のこころを知り尽くし
想ひ出は想ひ出のまま女郎花
メハジキや幼き日々のことすぐに
一輪の桔梗引き立てをりし藪
群れてゐて一輪づつの桔梗かな
先端の蕾に縋る赤とんぼ
輝きの宿る若さや金水引
金水引目立ちがちやでありにけり
青春の頃もあるべし男郎花
志しまず立ててをり小葉擬宝珠
曇天に白の際立つ花臭木
花臭木風の動かぬ日なりけり
秋の蝶少し慌ててゐるやうな
蝉声にすつぽり濡れて歩みゆく
傘さして秋の噴水見てをりぬ