渓流に立てる釣り人山法師
浅間山のムサシノキスゲを見てきました。
分け目なき髪もあるべし冷房車
本の紐垂れたるままに青葉風
列車待つ後ろ姿や片白草
手を伸ばし曲がる自転車風薫る
人にみな隠れ心や黄菅咲く
天上は美しからんえごの花
風薫る浅間山は低き山
人をつと仰向かせたるえごの花
夏鳥の声頂上を透けてゆく
頂上の空昇りゆく山法師
頂上の小社ぐるり若葉かな
何時までも見飽きぬものに若葉山
黒揚羽明かりの在処知りをりぬ
夏蝶を押し上げてゐる森の風
無駄のなき動きとなれる揚羽蝶
影と日の織りなす森や姫空木
野辺に咲くもののひかりや姫女苑
白雲になりたきはガマズミの花
一匹の狐のごとき黄菅かな
金襴の笹原統べて高きへと
若葉山羽根を広げてゆく鴉
曇天の日も透き通り夏鶯
夏鶯森に深さのあればなほ
夏鶯森に深さと高さかな
山道の吾と語るや蔦若葉
仰向けば皆まで見せてえごの花
山影の修験の富士や山法師
丹沢を遥かに望み夏鶯
四阿の下の会話や若葉風
森の闇浮き立たせたる黄菅かな