上川乗から浅間鎖を経て払沢の滝入口 | 俳句とお星様と山歩き

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俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

晴れの日も今日までとの天気予報で、それでは浅間額に富士山を見に行こうと計画した。武蔵五日市発のバスは九時六分である。バス時刻表を見れば”八時四十三分発の小岩行があり、小岩から登る手もあったかと思ったが、それは気が付かなかった。 東京に春の雪が降ると妙に行きたくなるという浅間嶺は不思議な山ではあるが、今年は例年に比較すると雪の量も少ない気がする。バスは武蔵五日市の駅から檜原街道を通って武蔵五日市市内を出て、檜原村役場から一度払沢の滝入口を経てやすらぎの里へ行きそこから戻って数馬の方向へとゆく、途中山肌の明るいところには福寿草が群生してまぶしい程である。道の両側にわずかに雪が残っているが、たいしたことはない。伐採した山肌は斑らに白いところが多い。松生山へゆく笹平を過ぎてしばらくで、上川乗へと到着する。十時少し前というところで、そこにトイレもあるので準備する。 ここで下車したのは私の他に二十代か三十代の女性二人で、地図を見てから行動開始のようで私より先行する。登山口はこの先にあり、私はゆっくりと登るので、直に女性二人の姿は 見失ったのであった。登山口はむかし茅葺屋根で今はトタンでカバーしてある立派な家と長屋門風の門がある武田家の前にある。この集落は甲斐武田から名字を貰って、ほとんど武田の姓である。登山口から少しゆくと二十六夜塔とか地蔵とか石碑のたぐいがまとめてひとところに設置されており、道路整備の折の名残りであろうか。その裏山がこの集落の墓場となっている。浅間嶺までは標高差が五百メートルあり、それを詰めることとなる。時に山の中に猪垣があり、これは山畑である。ひとつの尾根を登り詰める感じでジグザグの道と山腹を巻いてゆく道の繰り返しで、時に尾根を歩き、時に山腹をゆく感じで標高差五百メートルを詰めてゆく、残雪は標高を上げるに従って出てくる。時に雑木もある山ではあるが圧倒的に杉林が多く、杉の花の色も青空の間に間に望むという感じであろう。 良かったのは、風があることはあるが、杉花粉をかき混ぜるような風ではないところが良い、助かったと言うべきであろう。春の鳥の声もそんなには聞かず杉林の静謐の時をゆく感じである。まず人と会わないので、こういう不思議な時間を過ごすことも日常ではないことである。だからどうだと言うこともないが、そういうことである。途中尾根で一休みして、後はゆっくりと登ってゆけば浅間鎮のある峠へて到る。そこからは雪解けの春泥道を登り詰めれば、同じバスで来た女性二人がなんと言うのかパンを挟んで焼く器具があるがあれを持って料理をしている。山は様々な楽しみ方があるが、山ごはんも楽しみのひとつで、山ビールを楽しみの方もおられるが、最近はあまり見ない(ような気がする。背中の荷物を下ろして見れば 富士山がくっきりと見える。丹沢もまたくっきりと望める。反対方向は大岳山から奥多摩駅へ連らなる尾根、御前山の尾根、その奥に、鷹ノ巣山石尾根、七ッ石山、雲取山を並べその奥が大菩薩の連山で、石尾根に連なる山と大菩薩に連なる山は斑に白く印象的である。たっぷりとその風景を楽しみつつ穂まれ屋で買ったおにぎりが昼食である。さて帰りは松生山の方向へ進路を取る。雪解けのぐちゃぐちゃ道で滑るところは滑る。滑った跡がたっぷりとある。松生山へ行く手前を左手に時坂峠を目指してゆく、すぐに代採地の横を通るが、雪解け道と油断していたら、解けてなくて凍結しているところが出て来て道は狭いし、落ちたら崖だしで、山際を進んで事なきを得た。アイゼンを付ければ何のことはないのだか、付けるスペースもなく、結果オーライだが、少し反省する。その代採地を過ぎれば、涸れ谷を下ってゆく、苔蒸した岩に春の雪が残っているのが印象的である。それが美しい。涸れ谷もゆけば渓流となる。木橋を渡って茅葺屋根の古い家屋があるがクラウドファンディングで保存の要請をしたところ三百二十万円集まったと貼紙に書いてあった。この景観は捨てがたいものがある。、山肌が真白でその前に椿の一木があり、この景も見事である。雪に椿は美しい。先を急けば石手に茶店、眼前に大岳山の景が素晴らしい、 長椅子で食事中の人が三人、幸せそうである。 そこからは道をゆけば時坂峠へ到着する。 小社がひとつと地蔵が二体出迎えてくれる。山道を下って、集落の中の道をゆけば福寿草が家自体を囲むように咲いている。道野辺の三椏の花も満開である。時坂の集落を過ぎて払沢の集落へと山道をゆき、豆腐屋ちとせの前がバス停である。ちとせ屋で豆乳のあたたかいのを頂き、今日は四時間弱の山歩きでした。一時五十七分の武蔵五日市行バスに乗ります。

ありがとう、浅間嶺。

ありがとう、富士山。