マンションの灯のさまざまに二月尽
散歩しておりましたら、とても寒かったです。下手したら風邪ひきますね。
奥多摩の彫を深めて春の雪
それぞれの山くつきりと春の雪
雲とけて雪を頂く春の山
春北風や青空の色新たなる
春北風や野鳩の歩む野をゆけば
曇天の日の森ゆけば花馬酔木
下萌の持ち上げてゐる苑の空
下萌が描きてをりし平和かな
下萌の下絵のやうに描きゆく
下萌の線から面へ太りゆく
曇天の日も菜の花を眩しめり
菜の花と結ばれてゐるひかりかな
春の鳥ひとりの影として待てり
曇天の頂きにゐる春の鳥
菜の花やこころぬくもるまでゐたる
命とはかくも明るく落椿
純朴なままの姿や落椿
森低く飛びゆく鳥や木の芽雨
紅白の目出度さのあり落椿
春蘭の芽のつんつんと風の中
春蘭の芽にぬくもりのこもりをり
一輪の森のすみれと出会ひたる
一輪のすみれと私森の中
曇天の日の白梅の色新た
自らも風生むごとく花馬酔木
山茱萸の満開といふ慎ましさ
曇天を背に山茱萸の輝ける
曇天の一様ならず梅の花
瓦葺きなりし茶室や竹の秋
月影てふ梅の殊更香りけり
山茱萸やこころの中に棲む郷里
四阿は四方に開けて枝垂梅