人影と歩を合はせゆく今朝の秋
昨日、山歩きをしたので、今日は、外へ出る気力なしでした。
方舟の記憶を持てる吊舟草
山巓を楽園とする秋の蝶
赤とんぼ日を宿しては弾きては
秋の蜘蛛粘りを増してきたやうな
にごり酒どこかに潜む下心
他愛ない夫婦喧嘩や秋の虹
啄木鳥の青空に穴開けてをり
突き出しの枝豆摘み縄のれん
ひぐらしや合はねばつのるこころとも
焼け焦げの音こそ良けれ秋刀魚食ふ
渓流の音より逸れて蕎麦の花
蚯蚓鳴くどの墓石も苔蒸して
無花果や女系家族でありにけり
道の名はビーナスライン秋桜
秋暑しドッチボールの砂煙
天と地と海を荒ぶる野分くる
思春期の揺らぎのことを青蜜柑
かな文字のはんなりとして秋扇
秋草のなにかを惜しむごとくとも
秋鯖の日本海のものなりぬ
秋時雨車が弾く水溜まり
秋簾なにかを欲しをりし猫
高原の四方に連山秋澄めり
秋茄子やまづ常温で酌む地酒
秋の朝駅へと急ぐ靴の音
比良比叡湖国を結ぶ秋の虹
ロングボブ左右に揺らし花野かな
山栗の大樹の下の猿集団
集落はみなが深沢鬼胡桃