朝顔の蔦延びてゐる駅舎かな
遊歩道を散歩してきましたが、散歩している人が少ないです。
ひと鉢に蓮を咲かせてゐる方丈
緑蔭に黒ぐろとあり茶筅塚
灸花日差しを貯めてゐるやうな
高架ゆく電車の音や炎天下
水遊び場にずぶ濡れのお母さん
公園に人見当たらない蝉時雨
重なりて二条二条の蝉時雨
大岩のまにまに子らの水遊び
スリッパで来る母親の水遊び
大木の樹下に佇む涼しさよ
大樹ひとつ囲めるベンチ涼新た
風を呼び風に呼ばれて秋桜
声途切れたちまち蝉の飛翔せり
木のベンチ石のベンチや赤とんぼ
ビブラートぴつたりと合ひ蝉時雨
年齢の艶とも思ふ麦藁帽
汗拭きのタオルを持ちて散歩せり
コンクリート打ちつぱなしや百日紅
白々と炎暑の空の広がれる
走る人汗びかりしてをリぬ
炎天下窓開け放つ家のあり
遊歩道蜻蛉の道も沿ひをりぬ
真昼間は縮める烏瓜の花
烏瓜の花垣根を宇宙とす
夏蝶の日差しが力なりしかと
栃の実の落ちて当たれば痛さうな
広大な庭師の庭に夏鶯
木々をみな透き通りくる夏鶯
炎天へ滑り出したるモノレール
びしよ濡れの肌で乗りたる冷房車