西沢渓谷 | 俳句とお星様と山歩き

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俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

山梨の石和温泉に宿泊した翌日に、久しぶりに西沢渓谷を歩いてみることにした。ネットで調べたところでは、塩山から平日のバスは四月二十日から運行ということなので、 入山も当然に大丈夫だろうと思ってのことである。聞けば 石和温泉の隣駅から西沢渓谷行きのバスが塩山からとは別に出ているようで、 山梨市駅であるけれども、それに間に合うように早めに 宿を出て、九時十二分発のバスを山梨市駅の駅前で待つ。 乗客は女性一人と私と友人の三人乗車で出発である。西沢渓谷のある三富村は、近年山梨市と合併したようで、従って山梨市営バスの運行である。主要道路から少し外れた集落も丁寧に寄っていくところが市営バスのミソで、少々時間がかかるのでかったるい気もする。天候は曇天で四囲の山も雲がかかって山頂は見えない感じである。 このバス路線は途中に温泉が何箇所かあり山の帰りに寄れたりするところが実に良い。 途中、乾徳山登山口へと 本線から支線へと入って往復するところがこのバスの特徴といえば言えるところで、その後はまっすぐに目的地へと向かう。 広瀬湖というダム湖が見えたら目的地は近い、道の駅「みとみ」は今日は休みのようである。 その先に西沢渓谷蒟蒻館がある。終点はドライブイン不動小屋、むかしの東沢山荘である。下車は私と友の二人で、バスから降りれば不動 小屋の親父さんが店の前で よもぎ餅を売っている。 よもぎの色がとても新鮮でありなんと言っても濃い。一個百八十円で、買ってその場で食べれば、美味しいこと美味しいこと。親父と話をすれば、 山開きは四月二十九日なので、 まだ 山道は通行止めになっているということで 、親父さんは自己責任ということを強調していた。親父さんは、実際に渓谷の道を今年はまだ 訪ねていないようだ。 さて、十時十五分には出発出来て、まずはゲートの横を通り抜けて、 林道を進もう 。山吹の花が 山肌から枝を伸ばして見事な黄色の花を咲かせている。 ここの標高は10千メートル以上あるので 、里はすでに新緑が進んでいるが、山々はまだ 芽吹山の様子で、菫もアオイスミレとタチツボスミレぐらいである。ナレイ沢を横切る橋を渡る。ナレイ沢らしい 独特の流れが印象的で、名は体を表している。 山肌には ミツバツツジが林道へと鮮やかな姿を見せている。 左手にネトリ大橋があるが、 これは歩行者用通路を残して工事中である。すぐ角にトイレがあるが、冬季閉鎖 という張り紙があるので、開山まで閉鎖なのであろう。 まっすぐ行けば 西沢山荘が見え、 これは廃業して久しい。すぐに先に立派な田部重治 文学碑が立っている。 その文学碑を読んで行こう。 そこのところに ゲートがあり、冬季閉鎖となっているので、 狭い隙間から抜けて行こう。立派な二俣吊橋を渡って、 山道 となり、 これよりは渓流に沿って登り下りが延々と続いていく、 しかし、それぞれの感動のあるところが多いので、そんなに苦になるほどではないだろう。 三重の滝は左手に下って行けば展望台がある。とどろき渡る滝の音色と三重の滝の滝壺のエメラルドグリーンの色合いの素晴らしさと白濁とした飛沫の織りなす劇場のような激しさと滑岩を滑り行く柔らかさと、幾重にも人間関係が織りなすドラマがあるように、こういうところにもドラマを見いだすのが人間なのかもしれない。 渓流の道は大概が鎖が谷側に設置してあるので、それを拠り所とすれば、 岩は濡れているが滑らないように気をつけてさえ行けば大丈夫ではなかろうか。 次が龍神の滝で、色合いも神秘的だが激しさもひとしおである。 恋人の滝はかなりの高さから心一筋という感じで山肌を降りていく。その滝のもつれ具合が見所ではないか。 特に緩やかに 特に激しく 渓流は続いて、どの渓流もドラマ性がある。貞泉の滝もまたそうである。母胎淵というところがあるが、 まさに母胎のくぼみがあり、 そこに渓流が渦巻いているという感じである。山躑躅も咲いて、圧巻はヒカゲツツジが咲いているということである。 岩場の急峻なところに多いが、 中には山道に垂れて美しい黄色い姿を見せているところが素晴らしい。カエル岩を過ぎて、方杖橋を渡って、 急坂を上り詰めれば、七ツ釜五段の滝の展望が素晴らしい。この渓流歩きのメインであろうか。 じっくりと圧倒的な 五段の滝の展望を楽しみ、そこを登り詰めれば、 旧森林軌道で、そこを少し行けば黒金山 登山道入口である。さあ、椅子のあるところで昼餉にしよう。石和温泉駅の駅前のスーパーで買ってきたあさり弁当がとても美味しい。 これからは 渓流を眼下に見下ろしての 旧森林 自動 歩きで、渓流歩きとは違って 、道も 格段に良くなる。三つ葉躑躅とヒカゲツツジを見ながら歩こう。 渓流にもあったがツルネコノメソウが岩場には繁茂していてとても可愛い。 そしてよく見れば 渓流沿いには見つけられなかった花猫の目草が咲いている。これはまた実に嬉しい。 山肌にはハシリドコロの花が咲いて、 これは多い。 シャクナゲ はまだ咲いているのを見ないので、あと一週間は必要であるだろう。延々とゆけば途中に大展望台というところがあり、甲武信岳から雁坂峠までの山々が見られるのが、残念ながら今日は雲隠れである。大久保沢の吊橋を渡って、シャクナゲの大群落が見れるであろうところを過ぎて、再び展望台というところから 山々を見回して、ネトリ大橋を渡って行けば 、バス停は二時十五分着である。 不動小屋の親父から山道の状態を聞かれて、正直ベースで話をして、よもぎ餅をもう一つ頂き、二時四十分塩山行きバスに乗る。 今日は四時間の山歩きでした。

 ありがとう、 西沢渓谷。

 ありがとう、友よ。。