能岳から八重山 | 俳句とお星様と山歩き

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俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

開花宣言があれば行きたくなるのは、上野原の八重山である。山のことであるからしてまだ少ししか咲いていないだろうが、その少しの山桜を見に行くことにした。幸いに気温は二十五度になるということで、上野原駅で友と待ち合わせて、八時五十分発の光電上野原工場前でバスを下車して、そこからは友と二人のみの登山口である。九時十分には出発出来て、民家の脇の道から姫踊子草、犬ふぐり、ぺんぺん草を眺め、 時折にタチツボスミレを見て、墓の脇からもう一度里道へと出て、斜め左手に山肌を詰めてゆく。ここら辺の地名は山風呂という地名であるが、謂れは知らない。雑木林の森 なのでタチツボスミレなどを眺めて行けば 道端に一人静の芽の開いたばかりのものを四輪見る。 真っ黒いワイングラスから白い雌蕊が階段状にあるような感じに咲いているのが、殊に可愛い。ちょっと先に一人静かの少し開いていたのがあり、これはこれでコケッテッシュな感じがより可愛く思えるのである。山道の崖の下のところに碇草が咲いている。 木を伝って行けそうなので少し降りて写真に撮って帰ってくると、道の脇にも碇草が咲いている。まあこういうことは しょうがない 。白いつぶつぶの小さな花はセントウソウだが、 これはそんなには多くはない。 ジグザグに高度をあげて行けば、 右左の山肌にカタクリの花が現れて、大きく背に翼を反らした姿が天候の良き日であればこそである。 山肌を少し 登って行って形の良さそうなカタクリの花を写真に撮ろう。 山肌を見れば 奥まで カタクリの花が咲いている感じで、 カタクリの山そのものである。 こういう風に自然が残っているのが、とても嬉しくなる。山道は芽吹き 山であるからして、様々な芽吹きの息吹きに触れながら歩いて行こう。 途中に石仏が見られ、 昔は交易の道であったのではないか、 また馬頭観世音の実に柔和な顔が特徴の像が祀られており、 この地域の豊かさというかそういうものを感じる。 途中虎丸山への分岐があったが、 今日は寄らないので分岐は過ぎて来た。尾根に沿って行けば能岳への最後の急登りになり、雑木山の明るい 尾根を詰めて行けば、能岳と八重山を結ぶ 尾根へと飛び出るので、 そこを左手に行けば能岳の山頂へと至る。 机と椅子があるので少しくつろぐ。 完全なる見事なる 富士山を眼前に望む。 この光景を見ただけでここに来てよかったと思うばかりである。後続の方が来られて、 お二人は椅子を組み立ててゆったりとくつろぎながら この光景に見惚れているのがいかにも印象的である。水分を補給して、後は八重山へと向かう、この山は八重さんが市に寄付をされた山で、今は学校林として整備されて財産区が管理をして、 季節季節で様々な花を咲かせている山である。能岳を一旦下って八重山へと登っていく。 明るい尾根道である。クロモジの木の花が風に揺れて、 さらに輝きを増して富士山を背にして光っている。小さな木を見れば 花をつけたウグイスカグラが風に小刻みに震えているのが印象的である。 足元を見れば 春蘭が光を背負って明るく輝いている。少し登り詰めれば、五感の森の八重山の頂上であり、四阿のところの椅子が開いているので、 そこに 腰を下ろして昼食にしよう。 富士山を眼前にして左に丹沢を置き、 大室山の山塊に続く中央線の山々、 富士山の右手には三つ峠を置いて、 扇山から権現山の稜線が望める。そして山頂に咲く山桜がその峰々への彩りを湛えており、 いつまで見ても飽きるということがない。 展望が素晴らしいその空へ、しきりに三頭の蝶々がもつれ合いほぐれ合いながら遊んでいる。春の山に持ち上げられている富士の峰を堪能しようではないか、友も 私も今日はパン食である。 さて、左手に上野原中へ向けて下って行こう。急階段を気をつけて行けば、木五倍子の花が青空に美しく映えて、 山のもののなんと綺麗なことであろうか 、また 足元を見れば千本槍の小さな小さな花が可憐そのものの形で花びらを外と広げている。その二輪に心が奪われそうではないか。さらに行けば、 山桜が少しずつ増えていって気分が良い 。そこそこに春蘭も見るようになって楽しいことに極まりない。 よく見れば 下向きに咲いているのはモミジイチゴで、イチゴ属の 花の特徴がよく現れている。行けば 八重山 五感の森の鐘が現れてくるので、これを一撞きして行こう。 その先に四阿 風の大きな展望台がある。 ここからの展望が三百六十度で素晴らしい。ここの展望台に登らなければ 八重山の価値が半減するのではないかとの思いもあるほどである。左手に生藤山の尾根から始まって 陣馬山から高尾山へ続く尾根が見えて、相模湖 後背の山から丹沢そして 富士山・ 三つ峠 扇山から権現山・三頭山などなどが延々と望めるところが素晴らしい。 なるほど五感の森 なのである。 山桜の並木道を下って行こう。 すみれを見つつ行けばダンコウバイが一木あり花盛りである。 そしてまた山桜を楽しみつつ下山 すれば、 山肌にミツバツチグリの群落が見られる。 すみれそのものの色のすみれが一輪 見られる。さて、 渓流に沿って歩いて行こう。 途中、ヨゴレネコノメソウを見て、 また カタクリの群落の山を見て、登山口へと到着すれば、ムラサキキケンマが見られる。 目の前が上野原中で 、そこから十分ほどで大堀のバス停に着く。見ればバスは十二時三十八分発である あと十分 ある。 上野原駅では中央線に事故があったようで、一時三十四発特快に乗ってご帰還です 。今日は三時間十五分の山歩きでした。

 ありがとう、 八重山。

 ありがとう、友よ。