上川乗から浅間嶺を経て払沢の滝バス停 | 俳句とお星様と山歩き

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俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

不思議なもので、雪が降ると毎年浅間嶺に登りたくなる。バスは武蔵五日市発が 九 時のがあり、それを基準とすれば西国立初が七 時五十九 分で間に合うことになり、朝の早起きの必要もない。後は天気だけだが、朝焼けの空に雲が結構あり、すっかり快晴とはいかないようだ。電車は立川からは座れて、武蔵五日市のバス始発は二十人もいない感じである。九 時五分にバスは出発して、払沢の滝で下車する人はいないようだ。八名ぐらいの団体が笹平と上川乗の中間ぐらいで下車したが、あれはどこの山に登るのであろうか。上川乗で下車は私一人でバス停に駐車場とトイレがある。見れば、駐車場から登山姿の方が二人歩いてきて、男女二人だがどうやら同じ方向のようであり、私はバス停でトイレに寄って準備をしていけば、先の二人はもう見えない。上川乗からは真っすぐ道を進み、家々の表札を見れば、武田性の多いところで、甲斐の武田の勢力が長くここら辺まで及んでいた歴史を感じる。養蚕の関係からか立派な家の多いところである。二つ目の道に浅間嶺の標示に従い、右手にゆけばすぐに坂道になり左手に庚申塚や二十六夜塔などの石塔が所狭しと並べられているが、街道を再編する時の名残であろう、一箇所にまとめられて何やら哀れでもある。そこからは山道となる。雪は例年以上に降ったようで、すぐに雪道となる。前をゆく二人の足跡もありがたいが、その前に道を歩いたであろう方々のご苦労が偲ばれるところである。雪が降ってから二日間が経過しているので、雪の上に杉の落下物がとても多い、特に雪の重みで落ちてきた枝が山道を邪魔して、それを避けて、そして乗り越えてゆく場面が多くなる。多くの人が歩かれただろうという感じではなく、数えるぐらいの人が通ったという感じである。雪の少ないところ多いところいろいろあるが、チェーンスパイクをつけるまでもないのでつけずに歩く。雪解けの雫が落ちてきたり、氷の塊が落ちてきたり、雪の塊が落下したり、思い出したように枝が雪をはじき散らしたりと様々ではあるが、背中に滴が入ってくるのには閉口する。雪を踏みながら歩めば雪が沈み込み、それを繰り返していくので、これも体力を消耗することの一つかと思う。木漏れ日が差すと雪が星のように輝き出すのが美しい、山でなくてもそうであろうが。道はジグザグに尾根を登り、瘤を巻いて、また尾根に登り、瘤を巻いては、また尾根に登るを繰り返して高度を上げてゆく。高度を上げれば上げるほどに、雪は深さを増してゆくが、天気が良く、雪がカチカチで滑るという感じではなく、むしろ、滑りにくい感じではないだろうか。山腹を巻いて尾根の鞍部へとひょっこり出ると、浅間嶺は近い、そうそう、私の前を歩いていた二人は尾根で休憩をとっていたので、抜き去ってきたが、こういう日は前に人がいた方が楽なのである。右手に雪道を滑らないようにゆけば、浅間嶺はすぐである。人気のある山なので誰かいるのではと思って行けば、誰もいない。木製の椅子と机があり、一脚は先客が完全に雪を払って乾いていて、椅子だけのところも一脚乾いているので、椅子だけのところで使わせていただく。まず、山巓標識をパチリと一枚。富士の峰は残念ながら薄雲の中で春月のごとくに朧であり、これはとても残念である。頂上はさすが一面の雪世界である。眼前に大岳山と御岳山に連なる御前山、三頭山、そして雲取山へと連なる山々が一望である。当然ながら反対方向は丹沢の山々が一望である。ゆっくりと眼前 の山並みを眺めながら昼食にしよう。今日はパン食である。食べ終わったところで若い二人の男女が登ってきて、その後、私が追い抜かした二人が来たので食事場所を開けて、ここでチェーンスパイクをつけて、山巓の雪をサクサクと踏んで松生山の方向へと行く、ここら辺は杉林ではなく雑木林なので葉を落とした木はほぼ裸木である。雪原にボツボツと穴が開いているが、くっきりと獣の足音と分かるものはないようである。チェーインスパイクをつけているせいか滑ることはなく、足早でも軽快である。ゆるやかに尾根をゆけば標識が出てきて、二手に分かれるが、松生山の方向は足跡がない、道が完全に雪に埋まっている。左手に峠の茶屋の方向へ行こう。山肌を下る感じで、行けば分岐に至り、浅間嶺への山肌の道と小岩への道を分けて右手に行く感じで山腹を撒いてゆく。左手が切り立ったところで山肌が伐採して露わなので滑って落ちたら大変であろうが危険なところはなく、そういう感じがするところである。そういうところなので、ここが一番長く感じるのではないだろうか。まあ、この山腹の道は一応柵がしてあり、切り立ったところの尽きる辺りに人が二人立っており、二人はその柵に沿ってホイホイと降りて行っているので、この土地を管理されている方であろうか、如何にも雪で滑りそうなところであるが、色んな人がいるものである。そこを過ぎれば今度は渓流へと降りて、渓流に沿った道を歩くので、ここも滑っては困るところなので、チェーンスパイクはそのままで行く、一人だけ登ってきた方がおられて、その人もチェーンスパイクをつけていたので、この谷はやはり必要なのだと判断してそのままに行く。木橋を一つ渡れば、峠の茶屋の茅葺きの屋根が見える。その茅葺き屋根と門の屋根に無垢な春の雪が乗って、茅葺き屋根にほんわかと白無垢と綿帽子をかぶせたような豊かさがとても良い。茅葺き屋根というものは雪がかぶるととても美しいものだと認識させられるのである。そこからすぐに茶店が一軒あり、とことん古い歴史のある茶店のようであるが、近年営業しているのを見たことがない。その店の前の景色がとても良い。大岳山がドンと開けてその左側にちょこんと尖った山が天地山のようである。すればその左側の山塊は御前山の山塊であろう。しばし展望に見とれて、あとは払沢の滝入口まで帰るのみである。今日は林道をまっすぐ行ってみよう。時坂峠からは多分チェーンスパイクが必要となるので、ここで脱いで林道を行こう。山の北側はどこもだが雪が青白く残っている。ぐるぐると陰も陽もある林道を行けば、時坂の集落に出て、一つの谷が下部から上部まで集落なので、雪の少ない短縮道を通って、雪の多そうなところは林道を通って下へ下へと行く、一番下部のところには茅葺き屋根のどこかしら味わいの深い一軒のお宅があり、このお宅を眺めるのがとても好きなのだが、今日は煙が出ているとか、洗濯物が干されているとかの生活感があまりなく、そういう意味で今日は残念と言えば残念である。林道をまっすぐにゆけば払沢の滝への道との交差点に至る。今年は凍結していないようなので、払沢の滝は諦めてバス停へ行く、見れば一 時五十九分発のバスがある。それまでゆっくりしよう。まず、豆腐屋のちとせ屋で豆乳の温かいのを一杯所申し、厚揚げと揚げを買って帰る。バス停がしっかりしているので、待つのも何のことはない。バスに乗れば朝同じバスに乗った方が四人ほど乗っている。武蔵五日市からは二 時四十一分の電車がある。今日は 四時間弱の山歩きでした。

ありがとう、浅間嶺。

ありがとう。春の雪。