満天に散らす絹雲秋の山
朝晩が冷えてきたので、下手すると体調崩しますね。お気を付けください。
秋蝶の速さ風を煽りをり
石塔になにかの意味や猫じやらし
叢をしかと浮き出て曼珠沙華
重さうに零余子の垂れてをりし空
零余子はも日の斑が見つけをりにけり
零余子てふ天の供物を賜わりぬ
子供らの声散らばりて零余子かな
零余子てふ幸の絡まる小枝かな
朱の蕾硬く閉ざして曼珠沙華
赤といふ闇を抱くもの曼珠沙華
円陣を組める蜻蛉の空深し
肌に来て秋の薮蚊の黒さかな
白雲に抱かるるやうに鳥帰る
公園の小径潤す秋桜
蜻蛉の群れてさみしき紛らはす
曼珠沙華白きものより色褪せて
七変化ありし白色曼珠沙華
顔までも秋の薮蚊に刺されたり
曼珠沙華しきりに鴉啼きをりぬ
仙人草遊ばせてゐる遊水池
白雲の住人なりぬ仙人草
安楽の地は何処にも仙人草
座して待つことの数多や仙人草
耳すましをれば恋歌酔芙蓉
日の斑はもひと日語らふ曼珠沙華
城址は雑木林や竹の春
小鳥来る母と子の居る雑木山
雑木山遠近に居る秋の鳥
鳥威しネオンのやうに昼灯す
電線の同じ向きなる稲雀
ひと飛びの速さ長さや鬼やんま