木の葉髪富士見橋より八合目
昨日は、五島美術館、等々力渓谷と九品仏へ吟行でした。
灯籠の足下山茶花敷き詰めり
庭園の五葉松まづ淑気かな
竹垣を背に千両の艶姿
眼鼻なく苔むす仏牡丹の芽
古井戸を覆ひてをりし朽葉かな
石塔を灯すごとくに冬日差し
蹲の底に眠れる落葉かな
ビルの間に聳え立つ富士明の春
日の斑得て庭石に坐す苔仏
こも巻の互ひに平行なりにけり
枯れてなほ意思表示せる石蕗の花
苔庭の明かりとなりぬ水仙花
牡丹の芽昇陽殿といふところ
山茶花を屋根に散らして昇陽殿
紅白の金魚椿の蕾かな
古墳址石碑に供へ冬の菊
朱の橋をくぐり渓谷青木の実
新春の歓びに似て樹々の風
せせらぎの音に憩ひてをりし鴨
朱の橋を水面に置ける淑気かな
あらたまの水底見せる日の斑かな
せせらぎが身を清めゆく明の春
寒中の渓を満たせる霊気かな
冬日差しひかりとなれる流れかな
明王のむち打つごとき冬の滝
修験の場打つ水音の淑気かな
苔伝ひ落ち来る水や明の春
龍神の黄金なす目や去年今年
注連飾役行者の座せる窟
水仙のしかと寄り添ふ喜寿の句碑
寒菊を供へ草木供養塔
敷き詰めて落葉明りの九品仏
赤々と閻魔の化身冬紅葉
冬鳥の糞白々と仏足石
枯葉みな力放下し枝に沿ふ
松飾る朱を極めをる仁王像