雨後の天を目指せる藪茗荷
やはり、今日は、降りました。藪茗荷が満開です。
木下闇囲みてをりぬ玉藻池
芝囲むやうに咲く薔薇風立ちぬ
芝の上どこまでもゆく蜻蛉かな
青芝に寝転んでゐる二人かな
遥かより芝生吹きくる風涼し
子に紐をつけて歩ける夏帽子
青芝を飛びてをりしか子の歩み
飛ぶものの高さに咲きぬ木槿かな
底紅やこころに秘めてゐる想ひ
底紅や君は何時でも素顔なり
戻り梅雨濁りしままの池の水
雨後の項垂れてゐる凌霄花
苔を蒸す樹々柔らかき戻り梅雨
戻り梅雨滴るやうに森の枝
枝のあるものに取り付き藪枯らし
取水口軍団なせる水馬
流れなきところは飛べる水馬
ひとところ故郷かもと藪萱草
定型を嫌ひてをりぬ藪萱草
藪萱草人にそれぞれ灯るもの
梅雨晴間烏の群の飛びゆけり
池の辺に風湧きてゐる涼しさよ
青芝に乳母車押し手を引きて
雨後の青芝目覚めをりにけり
夏柳風も渡れる太鼓橋
四阿と池を結びてゐる蜻蛉
祈りめく真白き塔の藪茗荷
梅雨晴間池へ数多のものの影
池ひとつ水辺のすでに木下闇