妖の手先だらりと紅枝垂
碇草・一人静・堅香子の花・一輪草・二輪草が咲き始めました。
奥津城の天を覆える紅枝垂
ビルの空奪ひてをりぬ花辛夷
墓地の霊鎮めてをりぬ養花天
かの世てふもののあるやに紅枝垂
ボール一個転がりてゐる桜かな
養花天人声のせぬ研修所
住宅街巡りゆくバス花の昼
春休校庭の今解放中
球を蹴る音のどすんと春休
養花天誰も居ぬ日の小学校
動くものなき不気味さよ養花天
音大の桜奏づるやうに咲く
大壺に花たつぷりと純喫茶
六差路の一角桜咲くところ
養花天街の画廊の写真展
駅前で人を待つ人チューリップ
慌ただしき車と人や養花天
養花天駅前巡るロータリー
土地土地で異なる文化木瓜の花
雪柳これより庭は花木園
荒星のごとくとも三椏の花
曇天を輝かせたる紫木蓮
木蓮の一輪づつにある自由
青竹の手摺辿りて若楓
挨拶の第一声や碇草
碇草空にも水のある地球
碇草空にくつきり浮きあがる
俯きてひとりの時間一輪草
春蘭の誓ひのことば述べてをり
廃寺の野辺に咲く堅香子の花
はけの水岩にすみれを宿らせり
庭園の石柔らかき蝶の昼
白炎をあげたるひとり静かな