雁渡し重きドアある避難小屋
今日で、旅の俳句は終了です。お付き合いを頂きまして、ありがとうございました。
秋草や山上に抱くひとつ湖
噴煙は火山の名残雁渡し
山肌は噴火時のまま秋高し
小石まで飛び交ひさうな初嵐
木道を歩めば秋の麒麟草
疾風の時は葉裏で秋の蝶
秋霖に深く掘られて山の道
稜線を疾風のごとく山の霧
山巓の霧の中より五色沼
霧去りて色深みゆく五色沼
秋草の満ちて明るき浄土平
木道が分ける秋草浄土平
吾が帽子脱がしに来る初嵐
稔り田の高みに先祖祀る墓
秋の日の山バスを待つ静けさよ
思ひ起こす秋草の名やバス待てば
毒茸でかく育ちぬバス停に
朝露のひかり幾筋野辺の道
山霧の中へ真つすぐロープウエー
風避けて岩陰に咲く秋の草
秋疾風パタパタ鳴らす吾が雨具
山霧の硫黄鉱山跡地かな
岩山を走りてゆける山の霧
山肌の土の露はに秋澄める
山道の親し気に寄る菊の花
ぐいぐいと秋山登りゆく男
山道の鮮やか秋の麒麟草
熊鈴の音すれ違ひ秋気澄む
森閑を褥としたる秋の蝶
微笑みを分かちぬ秋の麒麟草
涼風の吹き上がりくる山の肌
秋草を愛でつつ友と山の道
山神の化身のごとく秋の蝶
熊笹の露分けてゆく山の道
三輪に四輪五輪や蝦夷竜胆
竜胆の筆のごとくに語り出す
秋風や刺青の蛇のゐる湯殿
鹿の湯の秋の風鈴鳴りにけり
鹿の湯の外にずらりと秋簾
秋の蠅さまよひきたる湯殿かな
葛の花波立たぬやう浸かるお湯
掛け湯はも二百回とな秋気澄む
杓子もて掛け湯をするや秋の宵