見晴から至仏山を経由して鳩待峠 | 俳句とお星様と山歩き

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俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

燧小屋というところは料理がどれも美味しい、夕食のご飯は舞茸ご飯だがこれがまた美味しい。朝食も同様である。天気予報は今日は曇り時々晴れの予報だが、果たしてどうであろうか。六時半からの予定の朝食が早まって、六時十分には呼び出しがあり、こちらは出来れば早い方が良いので、歓迎である。準備をして宿を出たのが六時五十分で、見晴からは見えるはずの至仏山が見えない。キンコウカやコバギボシやオゼギクやイワショウブやアブラガヤやオゼヌマアザミなどを愛でながら湿原をゆっくりと行くと、霧雨となり早速雨具を着用されている方が多いが、私は傘を差して歩む、ただ風があるのでズボンは濡れるがままで、写真もとても撮りにくい、雨が降ろうが尾瀬ヶ原は尾瀬ヶ原で変わりがないが、木道の間からサワギキョウが顔を出して、また吾亦紅が風に揺れてとても可愛い。竜宮を抜けて中田代を抜け、風を伴って霧雨も止む様子がない。このまま雨なら至仏山に登る予定も中止にしようかと、考えながら歩いていると、上田代辺りで木道に立ち止まって写真を撮っている方がおり、聞けば、虹が出ているという。私の目にはまだ見えないが、よく目を凝らして見ると至仏山の麓あたりにうっすらと半円を描いて虹があり、見れば見るほど濃くなって行く、とても正しい虹を描いている。虹が出れば晴れと相場は決まっていて、すぐに暗雲は消えて、その後に残った白雲も山を上昇して消えていく、これはもう登ってくださいというサインと思い、山の鼻で準備をして、研究湿原を通って、至仏山の登山道に入って行く、ウバユリが歓迎の意を表し、乗っけの登山道から木の階段が所々にある急登が始まる。この登山道は 急登に次ぐ急登の連続で、嫌になるようなところだが、大体が八百メートル強ぐらいの高度を登ればいいので、なんとか騙し騙し行けば大丈夫であろうと思ってのことである。天気は快晴となったが、森林限界ではないので日陰があり、また涼風があるが、運動量が凄いので玉の汗が滴り落ちる。山毛欅の森は香りも良い感じである。時に弟切草が黄色い可愛い姿を見せ、真っ白な擬宝珠も散見される。森林限界を超えてからは展望も良くなり、振り返ればの話だが、雲に隠れている燧ヶ岳も全貌を現し、平ヶ岳の方もよく見え、アヤメ平も手に取るように見える。燧ヶ岳と至仏山を結ぶかのように尾瀬ヶ原が広がっており、その尾瀬ヶ原の池塘が特に美しく見える。まるでパノラマのような今ただいま、一瞬で消え去る絵画のごとくで、登れば登るほど大きく広く俯瞰したように展開するのは言うまでもない。東を統べる燧ヶ岳を西の至仏山から眺める心地よさ、それは東を統べる至仏山を燧ヶ岳から見る景とはまた違った感慨を抱くのではなかろうか。昨日訪ねたアヤメ平の湿原が見える。さあ息を切らしながら、今朝降っていた雨の余韻の蛇紋岩の道を滑らないように行こう。ここでは木の階段も決して平行ではなく、傾いて、そして朽ちているのも散見される。登山道は全て自己責任、転落しないように登っていこう。コオニユリの紅を尽くした花の可愛らしさが目立つ、頂上へと近づくにつれて風が強くなり、雲の流れが速くなり、また下界の展望が効かなくなった。木道の合間のタカネナデシコが風に吹かれ、どんなに風に吹かれても、ちぎれまいとして踏ん張るその様が力強い。ここはもう頂上を囲むお花畑である。まさに天上の楽園、風が強くて帽子が吹っ飛ばされそうだ。イブキジャコウソウの紫の小さな花が可愛い、小さいと言えばミヤマコゴメグサも群生して可愛い。ミヤマカラマツの白も可愛い、ハナニガナは、平均的にあるが、ここにも多い。ソバナの色合いがとても濃い。白いのはドクゼリであろうか。アキノキリンソウも見える。小さな灌木はミヤマホツツジであろうか。ノリウツギも見る。お花を楽しみながら行けば二千二百二十八メートル強の至仏山頂上はすぐである。雲が出て展望はイマイチであるが、ここで軽く昼食をとる。ここの登山道は山の鼻から登るのは登り専用で下山には使えない、下山に使えるのは鳩待峠からの登山道である。さあまず小至仏山を目指そう、蛇紋岩の多い道なのでとても滑りやすい、土のある所は泥状態で、足場を選んで降ろう。降りたら小至仏山まで登り返し、至仏山の展望を楽しむ。小至仏山からはやはり木の階段や蛇紋岩の岩場が多い 道なのでとても滑りやすい、土のある所は泥状態なのとても滑りやすい。オゼギクの黄色が可愛い、時に雲間から遠く尾瀬ヶ原や、もう雲を頂いた燧ヶ岳が見える。途中笠ヶ岳への登山道を分ける。蜻蛉や蝶の楽園のようなところだった記憶があるが、今も変わらずそうであろう。その先がオヤマ田代で、ここの池塘がまたこじんまりとした中にある静寂を、まさに悠久の自然の流れを感じさせてくれる。貴重な時の流れを感じさせてくれるところで、しばし佇む。オヤマ田代全体をワタスゲが小さく生育している。渡りゆく風を伝えてくれている。さて、 iPhone と電池を結ぶコードが故障して、通信時間がなくなる前に下山届を出さないと大変なことになるので、とりあえず通信できる時間内に、下山したいと急ぐ。下山途中に出会った花は何と言っても咲き残って真っ白な三角鉾のようなコバイケイソウ、そしてアヤメ一輪、ハクサンチドリにツリガネニンジン、チングルマ、トリアシショウマそんなところであろうか。至仏山から鳩待峠は高度差にして六百メートルあり、約二時間の下山で、無事鳩待峠へ到着し、すぐに iPhone で下山届を提出して、ひとまず安心である。鳩待峠の山小屋で iPhone を充電して、その間に食堂でおすすめのコロッケカレーを頂く。見晴から尾瀬ヶ原を経て至仏山から鳩待峠まで六時間十分の旅路でした。

ありがとう、至仏山。

ありがとう、尾瀬ヶ原 。